多すぎる日本におけるカタカナ言葉

 私も前から感じていた。むつかしい漢語や英語をわざわざ使い、さもインテリぶっている政治家や評論家のなんと多いことだろうか、私は英語が専門だがオーバーシュートなどはスポーツ用語かと思ったくらいである。CMなどにもわざわざ欧米人でもよく知らない言葉を、日本人が多用する話を聞いたことがある。車の宣伝で学生時代「エアロダイナミクス(空気力学)」という言葉を耳にして覚えていたので、片言の英語しか話せない頃にその言葉をアメリカ人に話したら、「君はそんなむつかしい英語の学術用語を知っておきながら、なんで普通の会話ができないのか・・・」みたいなことを言われ大変恥ずかしかったのを覚えている。アメリカ留学した友人も「コンセンサス(意見の一致)なんて日本人はわかって使っているのだろうか・・・」と当時言っていた。同じような話を河野太郎防衛大臣(英語力がすごい閣僚)が話していたようだ。

 

「たまに失言で物議を醸す河野太郎防衛相だが、今回の発言には拍手を送りたくなった。記者会見で「日本語で言えることをわざわざ片仮名で言う必要があるのか」と述べ、新型コロナウイルス感染症について行政機関などが片仮名語を多用するのを批判した。

 パンデミック(世界的大流行)クラスター(感染者集団)ロックダウン(都市封鎖)…。爆発的な患者急増の意味で使われている「オーバーシュート」は特に分かりにくい。

 3月29日の社会面「読者とともに特別報道室」の記事によると、オーバーシュートは金融市場や統計で使われる用語で「行き過ぎる」「超過する」が本来の意味。そもそも海外の英語圏では感染爆発の意味で使っていないと、米ニューヨーク州弁護士の旦英夫さんが指摘していた。

 東京都の小池百合子知事は多用しているが、行政や専門家特有の話法が都民に通じるとは思えない。共同通信社の新聞用字用語集「記者ハンドブック」は「一般的でない専門用語の使用は避ける」「外国語をみだりに使わない」と明記する。新型コロナを報道する側も自戒しないと。 (報道部担当部長 山野公寛)」