Vol.65  至らない親の子は・・・

 年度末でこの1年の成績に一喜一憂している生徒達を見ながら、これからの指導法を考えていました。この1年期待以上に成績を上げてくれた生徒もいれば、あまり伸びなかった生徒もいます。中には教科によっては全く受け付けない生徒もいて自分の力の限界を感じました。その中でも何か伸びるきっかけがないかまだ探し続けていますから、私の方からあきらめる事は無いのですが、やはりお金を払って成績向上を目的にきている塾ですから、成績が上がらなければ自然と離れていく生徒もいます。

   普通なら少しずつでも繰り返し学習していれば覚える事でも覚えられません。何度自分の指導法を反省しまた自分を励まし続けた事でしょう。個人授業塾ではないのに時間外に来てもらって何時間も課外授業もやりましたし、その生徒もまじめに参加してくれました。でも終わりに簡単なまとめをやると全くできないのです。悩みました・・・ある方に相談して一見普通に見える子供でも、まじめに学習する子でも特定の教科が全く覚えられない子供がいる事を知りました。それに当てはめて考えると、納得がいきます。しかし、一番近くにいる保護者は「成績が上がらないのは塾の指導が悪いからだ!」と決め付けます。これって25メートルも泳げない体力の無い子の親が「人が100メートル泳げるのにうちの子が100メートルを泳げないのは指導しているあなたのせいだ!」と難くせを付けられているように感じてなりません。保護者の方は「ひょっとして、あまりに分からないのはチョット違うのではないか?・・・」と分かっているかも知れないけれど、それは微塵にも口に出さず、私に言って来ます。
   それなら学校はどうなのでしょうか?学校の勉強が分からないから塾に来ているのです。その勉強が分からない時に「うちの子供が学校の勉強が分からないのは学校の先生の指導が悪いのだ!」とまず言ってしかるべきです。でも言えないのでしょうね、だからその反動が塾に向かうのかも知れません。普通だと思いたい親の気持ちは大変よく分かります。でもそれが無理ならできることを固めていく方法しかないような気がします。しかし、何といわれようとお金をいただいて預かった以上成績を上げられなかったのは、わたしの責任ですから、ご注意、ご批判は甘んじて受けるつもりです。
 ただその原因が本当はどこにあるのか親として知ろうとしないのは、なぜでしょう?また違う塾に行ってそこの先生のせいにしてしまうのかも知れませんね。無理な事は無理なんだ・・・と全てを受け入れるのが本当の親の包容力ではないでしょうか?ひょっとして本当に何も疑いを持っていない保護者かも知れませんが・・・。

   中学時代に惨憺たる成績で進学をあきらめ大工をしていた人が、一念発起して大学院まで行き今は高校の先生をやっている人の話が新聞記事に載っていました。この人の意思も強かったのでしょうが、包容力のない親は周りにいなかったと思います。その記事は下記からごらんになれます。
   私も負けません、皆さんも「至らない親が、結局至らない子供を育てる」と知っていただきたいです。
どうか「至る親になって、至る子供さんに育ててください。」
   ありがとうございました。

          http://chubu.yomiuri.co.jp/news_top/060305_2.htm