学校にタブレット MS、VS.アップル 佐賀の陣

 定期的に教育関連のメールマガジンが、懇意にしてもらっている教材出版社から無料で送られてきます。いつながらに役立つ教育情報をいただくのですが、今回は一般の方が読んでも面白い記事だと思うので紹介致します。
 公的教育機関に勤めていた頃、公立の小学校や中学校にウインドウズとアップル社の両方のパソコンがおいてあり何でかな?と思っていたら、価格が変わらないのならその時々の流行みたいなのがありさらに、機材を決める人の志向でもかなり左右される、見たいな話を聞いて驚いた事がありました。同じパソコンですが両者のソフトは違いますし、美術関係ならともかく圧倒的なシェアーを持つウインドウズの方があらゆる面でも使いやすく、知識としても一般社会では役に立つとおもいますが、もし下記でアップルが採用されてもそれを手にする若者は、何の抵抗もなく仕事のパソコンはウインドウズで持ち運びにはアップル社製のを持ち歩くようになるでしょうから、私の先ほどの驚きは余計なものかも知れませんね。しかし、学校への売り込み営業セールスマンは大変です・・・。
 あなたならタブレット端末を買うとしたらどちらを選ばれますか?


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◆学校にタブレット――MS、VS.アップル佐賀の陣
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 OS「8」が一矢 県立全高校に  1500万人市場 教室白熱
  米アップルと米マイクロソフト(MS)が学校向けタブレット(多機
 能携帯端末)市場をめぐり激突している。日本MSは9日、佐賀県が県
 立全高校生に持たせるタブレットのOSとして「ウィンドウズ8プロ」
 が選ばれたと表明した。タブレット市場ではアップルの「iPad(ア
 イパッド)」が独走するが、「佐賀の陣」でやっと一矢報いた格好。政
 府は20年度までに全小中高等学校で一人一台のタブレットを配備する
 計画、教育市場が熱を帯びてきた。

  「よっしゃ、中川君、ようやった」。勝利の報告を受けた日本MSの
 樋口泰行社長は佐賀県との交渉窓口だった中川哲業務執行役員・文教本
 部長とがっちり握手した。

  MSにとって佐賀の勝利の意味は大きい。同県はまず来春入学する新
 1年生約6500人と教員に一人一台のタブレットを持たせる。県が県
 立高校の全生徒にタブレットを持たせる最初の事例としてMSがとるか、
 アップルがとるか注目されていた。日本MSの社内では「最優先項目」
 とされ、中川氏は毎週のように佐賀入りした。

  折しも2週間前、米国ではロサンゼルスの公立学校向けに3000万
 ドル(約30億円)の大型受注をアップルが獲得した。米MS本社から
 のプレッシャーに「生きた心地がしなかった」(中川氏)という。

  なぜ佐賀県が全国の先陣を切ってタブレットの一斉配備を決めたのか。
 発端は07年に始まった小・中学生を対象とした全国学力テストだ。全
 国屈指の教育藩として知られていた幕末の鍋島藩に起源を持つ佐賀県
 が、学力テストの結果は都道府県別で40位前後と低迷。もともと、I
 T化に熱心な古川康知事は「教育の質を変えよう」と情報化にかじを切
 った。

  まず、佐賀県が検討したのは「ウィンドウズ7」を搭載したタブレッ
 トだった。11年から一部の学校に導入し実証を始めた。しかし「使い
 づらく、充電もすぐに切れる」など現場の評判は散々だった。そこで1
 2年からはiPadの実証を始める。12年の中ごろには「iPadに
 決まりかけた」(県教育情報化推進室)が、ここからMSの粘り腰が始
 まる。

  12年10月、MSはウィンドウズ8を発売、これを何とか試しても
 らおうと佐賀県に働きかけた。11月、県はiPadとウィンドウズ8
 端末の比較を始め、いずれかを一人一台端末に選ぶことを決めた。

  5月の連休明け、佐賀大学で開かれた「教育フェスタ」。MS、アッ
 プルそれぞれが訪れた教員や保護者などを前にプレゼンテーションを実
 施した。アップル側の関係者は「アップルの方は廊下に人があふれてい
 たが、MSはそこそこ。今度こそうちに決まった」との感触を得たとい
 う。ウィンドウズ陣営のあるメーカー幹部も「向こう(iPad)に決
 まった」と白旗を上げたほどだ。

  しかし、ふたを開けてみると最後にモノをいったのはこれまで積み上
 げてきたMSの総合力だった。県の最終報告では操作性や電子黒板との
 親和性は引き分け。教員が自作の教材を作りやすいのもウィンドウズ、
 「ワード」や「エクセル」など主要ソフトを活用でき、過去のソフト資
 産を生かせるのもウィンドウズ。そして肝心の価格もウィンドウズと、
 iPadは「完敗」とも言える評価を下された。

  端末選定検討委員の一人によると「MSは相当の安値を提案した」と
 いう。この案件をとれば今後の全国での商談を有利に進められるとの執
 念が実った。

  今後の焦点は導入が決まったタブレットをどのように活用するかに移
 る。教育現場へのタブレット導入は始まったばかりだが、国が20年度
 までに一人一台のタブレット導入を打ち出すなど、機運は高まり、今後
 数年で一気に導入が進むとみられている。

  現在、国内の小中高の生徒・児童の数は約1500万人。端末関連だ
 けで1兆円以上の市場が出現する。電子教科書などの教材やシステム全
 般を含めると巨大な手つかずの市場が広がっている。アップル創業者の
 故スティーブ・ジョブズ氏は「教科書を再発明する」とiPadを開発
 したとされる。子供のころからアップル製品の操作性に慣れれば大人に
 なっても同社製品を選ぶと普及に熱心だった。

  教室を巡り白熱の戦いを繰り広げる両雄。アップル製品は個人向けを
 意図してもともと設計されている。一方でMSのウィンドウズはビジネ
 ス向け市場が主力だ。これまで国内の教育現場ではiPadが優勢だっ
 た。「佐賀の陣」では軍配が上がったMS。しかし、今回の全員へのウ
 ィンドウズ8導入で、期待通りの価値を生徒や教員に提供できるのか。
 全国の自治体や教育関係者は注目している。