有名予備校講師

 いま日本中で知らない人はいない予備校の現代文の講師林修氏が、テレビで小学生の子育て真っ最中の母親たちの相談にいろいろ乗っていた。彼の人となりなどにはあまり興味はないが、彼を紹介すると東大法学部をすんで大手銀行に就職しながらも続かずすぐ退社、彼自身着実にエリートコースを進む東大時代の知人たちと比べ、「自分はおちこぼれだ!」というコンプレックスを抱いていたそうである。家庭も裕福だったようで、いろいろな商売に手を出したがいずれも失敗し大きな借金を背負ったそうだが、塾講師としての才能を開花させ今に至っているようだ。
 彼はそんなに目立つようなキャラクターの講師ではなかったようだが、やはり天を味方にしたのか今は予備校講師のほかにテレビ出演や作家、教育評論家として昔コンプレックスを感じた仲間を超えた存在になっているのである。世の中はほんとにわからない。昔ヤンキーでどうしようもなかった生徒が改心し教員としてヤンキーだった自分の母校へ赴任して、多くの指導実績を上げ話題になりその後国会議員になり、いまは政府の教育行政の中核に携わっている人が生まれる時代、林氏彼もひょっとして政治団体が次の選挙あたりの候補者として目を付けているかも知れない。
 先のことはわからないから私は、塾に来て学びたいと思うどんな生徒にも精いっぱいの指導を心掛けたいと思う。塾仲間の会で私が話すことは、「進学率や成績UPなどを前面に売りにするのではなく、塾長が一番の塾の看板になることが必要ではないか・・・。」ということである。この塾長について行こう!と深く思ってもらったら、自然と進学や成績向上はついてくるのではないかと思うのだ。おかげさまで時間によっては、定員がいっぱいになってしまった。「簡単に塾は誰でも始められる。」とそそのかすFCがはびこる今の時代、タダならまだしもお金をはらう保護者は厳しくその塾を見定めているのである。成績を上げて当たり前、進学させて当たり前、でも儲からないからとすぐにやめるわけにはいかない職種であることを、肝に銘じている。
 今年28年目、経営が厳しい時代もあったが自分しかできない塾を続けてきた。先日また昔の教え子のお子さんが入塾してくれた。お母さん譲りの可愛く賢いお子さんである。希望は「小笠原先生の昔からのやり方で教えてください。私が勉強に目覚めたように子どももきっとより深く勉強の面白さに気がつくと思いますから・・・。」涙が出るほどうれしかった一言である。まだまだ勉強して頑張ろうと思う。