プレミアムフライデー(プレ金)

 月末の最終金曜日には仕事を午後3時に切り上げて、消費を拡大しようというのだそうである。できる企業できない企業があると思うが、さてどれだけの効果がわが国の経済に現れるかは、始めて見ないとわからないと思う。しかし政府も本腰でやるつもりなら、国家的に昔の土曜日のような扱いにしなければ、その効果は薄いようにも思うのである。学校関係者はたぶんこれ以上授業時間が減るのは困るだろうから、夏休みを8月だけにするとかの抜本的な改革が必要であろう。
 金曜日午後3時に仕事が引けても土曜日に必ず仕事があり、今だに週休二日もない私には全く関係ない話だが、もし自分が利用できるとしたら何をするだろうかと考えてみた。午後4時前に居酒屋に入って夏場ならビールで乾杯としたいところだが、夏場の夕方はまだ日も高いから6時ごろいい気分になって居酒屋を出たとしても、もう一軒行くなど多分しないのではないだろうか、終電に乗り遅れることもなく、夕方のラッシュ時に一人だけ赤い顔して早めの帰宅になりそうである。そしたら二泊三日で近辺への旅行でも考えるか・・・でも毎月そんなこともできないし、さてさてどうしたものか・・・。
 塾業界は世間で休みが増えれば増えるほど、休みが取れなくて過酷な勤務になる業界である。大手や小規模の塾でも講師任せの経営をして塾長は週末は必ず休みで、平日も塾には来たり来なかったりのところもあり、その分末端の社員やアルバイト講師の管理は大丈夫だろうかと思いながら、実際にはあまり出来ていないところもあるようでブラック業種と言われたりする所以なのだが、確かに自給1000円もらってもほかの業種での1000円と比べれば、神経を使う頭脳労働の塾の仕事は生徒や保護者に責任もあるから、アルバイトとしても決して良くはないだろう。大学生なら簡単な勉強内容でも、自分が分かることをそれが分からない子どもにわからせることとは、次元が全く違うことはやってみて初めて分かることなのである。だから大学の教育学部まであり先生を養成しているのだ。でも熱心で優秀な講師が大学生で見つかったとしても、彼らは4年生になれば卒業してゆくのである。そしたらまたゼロから講師募集や養成が必要なわけで、その余分なエネルギーを塾の指導に集中して向けられる私の経営方法は、生徒にとっては最良のものではないだろうか。
 しかしある塾長が話していた。「同じ地域での塾の円満独立などありません。優秀なアルバイト学生講師はありがたいが、一度生徒を引き抜かれて近所に独立された事がありそれ以来、あまりに優秀な講師は雇わないようにしている・・・。」とのことだった。だから大手によっては独立できないような会社規定を作ったり、縄張りを守るために独立教室の近所に、新たな教室を作り潰しにかかるのだろう。
「未経験の誰でも来てすぐ講師として仕事ができます。そのフォロー体制は万全です・・・。」などと書いて10代の大学生講師も募集している塾もある。講師が募集しなければいけないほど足らないのに、新入生をさらに募集しているおかしな塾と言えるかもしれない。さらにアルバイト講師の塾でも、私のようなベテランが担当している塾でも月謝は同じように必要である。体験授業ではベテランの塾長が出てきて素晴らしい教育論を保護者に話すが、実際のお子さんの授業は、昨日入りたての新米講師がやっているのかもしれないのだ。だから「私は塾長あなたに直接わが子を指導していただきたい!」というべきなのである。
 塾では生徒やスタッフがこれからは入れ替わる時期で、プレミアムフライデープレ金)は果たして今後塾業界には、「吉」と出るか「凶」と出るか見守ってゆきたい。