みかづき

 ふと目にした新聞の書評からこの本を知ったが、30数年間の自分の塾人生を思い浮かべながら、塾業界の変遷も絡めて出てくる登場人物たちの小説としての面白さも十分感じて、堪能できた小説であった。ほんとにふとした事から目に留まったこの本の出会いは、今後の自分の塾人生の指標となる道を示してくれたような気がする。ある評論家が「この本には小説のすべてがある」と書いてあったし、「読み終えて圧倒された!」とあるが、まさにその通りであった。
 500ページに及ぶ分厚い小説を久々に読破した私の充実感を、この本のさわやかで粋なエンディングで飾られたのがうれしいが、反面私の文章などまだまだ稚拙だと痛感してしまったのである。
 塾業界の方にはぜひ読んでほしい本だが、まだじっくり終わりまでの内容について感想を述べあえる方は少ないのが残念だ。国語力の向上が叫ばれて久しいが、若い講師などにはこれくらいの本を読み感想を述べあう力量くらいは、塾の講師として持っていてほしいと願う。

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カスタマーレビューを読んでください、一般の方にもお勧めの本です。