投稿 小さな命

   我が家ではマンションなので大きなペットが飼えないので、情操教育も兼ねまた「命の大切さ」と「死」について子どもに教えるためにも、ハムスターを飼っていた。その愛くるしいしぐさや姿は、私たち家族にいっときの安らぎを与えてくれた。    
  しかしハムスターは、2年くらいで寿命を全うするのである。小さいころの子どもたちはその「死」を目の当たりにして、ただ泣きじゃくっていたのだ。「ハムスターが可哀相?だったらもっとお世話もしてあげたら良かったんじゃないのかな?」と聞くと「これから世話する・・・」と言って一週間後には新しいハムスターが登場するが、世話は相変わらず妻がしていた。
  そんなことが何度か繰り返され子どもたちも大きくなり、あまりハムスターに興味を示さない年齢になったが、最近は妻や私を前以上に心和ませてくれる存在になっていたのである。食欲も旺盛で大変元気、小さな体でベランダ伝いに三軒隣のお宅まで探検に行き、無事帰った時はとてもうれしかった。そんな我が家のハムスターが、先日眠るように死んでしまった。3年近く生きたからハムスターでは、大往生だったにちがいない。
   ふと自分も寿命が全うできる、人に迷惑を掛けないこんな往生が迎えられたらと思ったのである。今回は私自身が「命の大切さ」と「死」について、改めて教えられたのであった。


このブログは高知新聞2月4日付け朝刊 声ひろばに掲載されました。