沖縄のそろばんブームに思う。

 昨日テレビ番組で沖縄が今そろばんブームだと伝えていました。そろばんを使う計算もさることながら、今ではフラッシュ暗算と言って、スクリーンに瞬間的に映し出される数字を瞬時のうちに計算して、正確さを競うものです。その内容をご存知でしょうか?三桁の数字が2.5秒のうちに20個映し出され計算をするのです。読み取るだけでも至難の業だと思いますが、それに命を懸けている人々を見ると、一体そろばんとは何なんだろうと思ってしまいました。
 私が小学生の時算数でそろばんの授業がありました。そろばん塾に通って出来る子もいましたが、先生は長さ1メートルほどある大きなそろばんを使って、初めてそろばんを学ぶ私たちに丁寧に教えてくれました。でも授業でやるだけですから、そんなに身に付くはずもありませんし、私はひたすら数字を凝視して、一心不乱にそろばんをはじき答えを出していく姿になにやらただならぬものを感じて、授業以外では全く興味はありませんでした。確か中学校になっても商業の時間が1年の時にあり、そろばんをやっていて6級くらい取るのが精一杯だったように記憶しています。でもそれ以来私の公的授業からは、そろばんは完全に消えてしまい、その時バリバリそろばんが出来ていた友達は、私が行った進学高校ではほとんどいませんでした。みんな商業高校とかに行ったのかな・・・
 教室に以前商業高校に進学した生徒が英語や数学を学びに来ていましたが、貸借対照表などの計算はもっぱら電卓になっていると言っていました。そして電卓でも検定があるようです。かなりのレベルを取らなければいけないと言っていましたが、こうなるとそろばんは完全に「趣味の世界」のように思います。やりたい人が超人的な2.5秒の壁を破ればいいのです。
 ただそろばんを早く始めれば算数ができ、数学で苦労しないと思っている人もいるようですが、それは違います。算数や数学は計算ばかりではありませんし、今は電卓やパソコンもある時代です、ましてお金を扱う銀行の窓口で今そろばんをはじいている人は、見たことがありません。もし使えるものなら今でも残っているでしょう。
 そろばんを子どもに習らわせて損はないとは思いますが、今の厳しい家計の下、もしわが子の小学生に限られた教育費を使って習わせるならば、私なら「字」を習わせます。3歳からそろばんを習ってその子の将来が限りなく広がるとは、私はどうしても思えません。そろばんを習わせるのならまず「字」を習わせなさい。その方が将来ずっとお子さんのために間違いなく役に立ちます。

 昨日の番組で派遣切りにあって失業し、再就職のためにとそろばんを習っていた30代の人が取り上げられていましたが、目標は履歴書に書ける「そろばん検定3級」だそうです。沖縄はそれで今でも就職が有利になるのでしょうか?私なら同じお金を出して学ぶなら「パソコン」を学びなさい、と助言します。人それぞれの考え方に文句をつけそろばんを否定するつもりはありませんが、この21世紀にパソコンを差し置いてそろばんを習う失業者がいると知り、信じられないような釈然としない後味の番組でした。

 
 
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