面白い平清盛

 始まった当初から「内容が暗い」とか「画面が汚い」とかイチャモンを付けられていた本年度のNHKの大河ドラマであるが、私は毎週観て楽しんでいる。確かに平安時代の話だから戦国時代や幕末の頃のスピード感やドラマ性は少ないとは思うが、栄華を極めきった平家がわずか十数年で滅亡していくと分かっているから、その原因を知りたくて傍観者の利己主義で、観ているのかもしれない。そして血縁関係で成り立っていた組織が、その中心人物がスーパースターであればあるほど、その人物が消えてしまうと組織はすぐに崩壊してしまうのは、世の中の道理なのかも知れない。
 現在の大企業でもあえて身内を入れないホンダのような企業も存在するのである。豊臣秀吉は自分自身のサガ(さが)で失敗してしまったし、この後平家を倒して武士の世界を作った源氏でさえ三代で滅んだのは、平家の失敗を何も源氏は学んでいなかったと言えるだろう。
 そして吉松隆の音楽は、近年の大河ドラマのテーマ曲では一番の出来ではないかと思うのである。http://www.youtube.com/watch?v=ZysKS_8fDmg
テーマ曲のスコア楽譜を見たわけではないが、金管楽器と打楽器の使い方が凄まじい。特にホルンなどはこの曲を演奏した後はしばらく違う曲は吹けないだろうと思えるような演奏で、とても凡人が書ける曲ではないし、素人が容易に演奏できる曲でもない仕上がりになっていて、それが平清盛の非凡なカリスマ性を音楽でも表現しているのである。話題の「カルタス」http://www.youtube.com/watch?v=eFz9XceS8TQ&feature=fvwrelなども挿入されており、N響のコンサートで聴けるようになるかも知れない。

 番組批評で「この番組は面白くない。」といわれる方がいるが、そういう方はただ見なければ済む話だ。でも後10年もすればこの番組の面白さはより深く理解されるであろうし、その時でも分からない人には多分永久にわからないだろう。きれいじゃない世界の話の場面で、画面がきれいなはずはないのだ。この番組の良さが分かる者だけでこの番組は楽しんでおこうではないか!平清盛は実に面白い!!