投稿 マッサン

 久しぶりにNHKの朝ドラを続けてみている。昨年だったかはやった「じぇじぇじぇ」などもまったく意味が分からなかったし、続けて見るのは久しぶりだ。
 欧米では20歳前になると親元を離れて自分で生活してみるという習慣は今でもあると思うが、100年くらい前に単身イギリスに行ってウイスキーの製造方法を学び、外国人のかみさんまで連れてきた主人公の生き方には、ただただすごいなと思う。その劇中でまったく違った異文化に身を置きながら、けなげに主人を思って献身的な努力をするかみさんの姿には女優の愛らしさも伴って、たくましささえ感じるのである。多少デフォルメされているとはいえ、世間に迎合できず不器用にしか生きられない主人公マッサンにはいささか閉口してしまうが、逆境に負けない彼女がそばにいたからこそ彼は壁にぶつかりながらも、目標に向かって行けたのだろう。
 海外に留学した知人に話を聞くと、必ず親身になって世話を焼いてくれた現地の方の話を聞くことがある。見ず知らずの自分になんでそこまでしてくれるのか・・・と最初は戸惑うくらい親切なのだ。ふと自分がその立場だったら同じことができるだろうかと考えた時、海外の人々の懐の深さを知ったようである。そして話していたのは「親切すぎる現地の日本人には気をつけろ。」であった。
 少し複雑な気分になったが、今でこそ普通になった国際結婚だが日本人同士でも結婚はなかなかうまくゆかないもので、まして言葉も考え方も習慣もすべてが違うもの同士が、「愛」だけで100年前に来日して想像を絶するそれからの戦中戦後時代を乗り切ったことは、やはりドラマに値するのだろう。このドラマでは不器用で一徹な主人公の生き方以上に私はかみさん役の女優に期待している。しかしドラマだから台詞はあるしいくら意味がわからなくても、暗記し言葉にして演じなければならない。それも大阪弁広島弁もありそれが半年毎日続くのである。本当のマッサンは英語が堪能だっただろうがドラマではあまり英語は話さない主人公マッサンだから、ドラマを生き抜いた主人公の奥さん以上に演じている彼女の今の役柄が朝ドラの語り草になり、将来ドラマになるような気がする。大した女優であると思う。

http://www.huffingtonpost.jp/2014/11/05/massan-charlotte-japan-part-of-my-life_n_6105130.html
このブログは12/7、高知新聞朝刊読者欄に「愛らしさとたくましさ」という題で、簡略掲載されました。
http://www.kochinews.co.jp/voice/1412/141206vhiroba05.htm