Vol.55   2006年 新年雑感 大雪と小学英語の巻

   2006年も始まってもう2週間くらいたちます。38豪雪以来の大雪で信越地方は大変なようです。雪化粧などと言うような形容詞がしらけて響くほどの大雪に現地の方々は日々悪戦苦闘されています。早く暖かくなって雪解けが待ち遠しい事でしょうが、今年ほど降ると少し暖かくなれば雪崩や融雪洪水などが心配されるそうです。最近立て続けに災害に見舞われているこの地方、自然から我々人類に対する悲鳴や警鐘のように聞こえるのは私だけでしょうか?一方四国地方では再び水不足が懸念されております。私達の生活は自然の絶妙のバランスの上に成り立っている事を改めて感じます。

   
   今年は小学英語に力を入れようとカリキュラムを考え、本格的に指導を開始しました。小学生5〜6年生の生徒には必ず英語を入れています。それも既存の子供英会話教室がやっているような遊び的なものではなく、聞きながら言葉にしながら読み書きをしっかり教えるカリキュラムです。言語の習得はまず聞く(聴く)事から始まります。そして言葉にでき文字を読めるよう認識し始め、書けるように学んでいくのが我々日本人が言葉を覚えられたように、時間はかかりますが自然な学習方法で無理なく習得できます。そうすれば英会話もできるようになりますが、不幸にも日本の学校英語教育は100年以上読み書きだけに特化され、試験で人を選別する道具に利用されてきました。聴く、話すを全くせず読み書きだけですから難しいのは当たり前で、会話の習得など不可能でした。

    その反省から外国人講師を入れたり、教員採用試験に英会話が必須になりましたが、週休2日制の導入により中学校では英語の時間は減ってしまったのに、今までなかった会話授業まで教えようとしています。従来の教えなければならない英文法の内容は変わっていないのに授業時間は減って、さらに会話の内容まで増えています。誰が考えても十分な英語教育ができるわけありません。英語の分からない生徒が増えて当たり前です。それを防ぐための小学英語の導入と私は思っておりましたが、教育委員会が考える小学英語はできるだけ読み書きはしないで英語を体感しながら、その楽しさを知ってもらい英語を好きになってもらう事です。まるで既存の子供英会話教室のやり方で、それは小学下級生で十分ではないでしょうか?英語って楽しい!そう思わせる事はとても大切です。しかし、楽しかった小学校の英語とはかけ離れた英語が中学校で始まります。試験が無くて体で感じる授業だけならその方向で発展授業もできるでしょうが、いかんせん中学の英語の試験は筆記試験が中心です。高校入試、大学入試、社会人対象英語試験等すべてそうです。教育委員会の考えは理想論です。


   ここに興味深い話をお話しましょう。以前当英語教室にあるお母さんが相談に見えられました。子供さんの英語の成績が芳しくないとの事でしたが話はそれで終わらず、小学1年からずっと6年生終わるまで近所の子供英語教室に週1回通わせていたいたそうです。少しでも子供が英語に親しんで中学高校で英語に苦労してもらいたくないから、の親心だったそうですが中学では逆に「簡単、簡単・・・」と言って全く英語の勉強をしなかったとの事です。簡単、簡単、と言っても夏休みが終わり2学期にはほとんど書けない状態になり、「小学校の英語は簡単だったのに中学校では難しいことばかり教える・・・」と言って試験にはほとんど手が付けられなかったそうです。それ以来英語が大嫌いになり全く分からなくなって当教室に来られたのでした。彼はずっと英語の勉強は書くことは全くしなくてただ本を見るだけの勉強しかしなかったようなのです。なぜそうなったのか、それは6年間ずっとそのやり方だけでしか英語を、勉強していなかったからです。びっくりしました。過ぎたるは及ばざるが如し・・・と言いますがこんな弊害があるんですね。またある有名私立中学校に通う子供さんも小1から小4まで子供英語教室で英語を学び、もう十分かなと思って進学塾に2年間通わせ私立中合格、以前あれほどやった英語だから中学校では英語の成績はきっと良いだろう・・・と思っていたのに実際は全部忘れていてかえって英語が分からず嫌いになったそうです。読み書きをやっていたかどうかは不明ですが、私が言いたいのは小学英語を習わせる保護者は、大人になって英会話が出来る事も希望しているがそんな先の事よりも、まずは中学高校での英語の良い成績を期待して学ばせているという事です。その期待に答えてこそはじめて保護者はその教室を信頼し、読み書きをしっかり教える小学英語の価値を認めてくれるのです。20年やってきましたから間違いはありません!

   小学校に上がる前大半の子供がひらがな、カタカナ、簡単な漢字まで分かるようになって小学校の勉強を始めるのに、中学校に入学する小学生の大半は大文字、小文字のアルファベットが完全に書けません。現場の中学の英語の先生からも「アルファベットの読み書きだけでもやってくれていたら中学での指導が全く違うのに・・・」と聞いたことがあります。また小学生の時に数年お遊び程度の英語を勉強して、学校の英語が及第点だったり大人になって英会話が出来れば誰も苦労はしません。親ができない事を子供に過度に期待する親こそ、子供を過度に不幸にするのです。

   上二人の生徒が特異なケースで、他の同じような学習をした子供は中学でもしっかり学習できて、大きく親の満足を得られる結果になったかもしれませんが、少なくとも私が教えれば上記の生徒はまず出さないとプロの講師として断言できます!
子供も保護者も「本当に英語が分かって楽しい!」と実感できる時はやはり試験でよい成績が取れた時なのです。それを多くの方に褒めてもらった時なのです。そして本当に好きになった人が勉強を自ら始め、英語の能力を開花させるのです。

   何事も基礎が大切です、今の公の小学英語のカリキュラムではみんながみんな英語が分かるようにはならないかも知れません。少なくとも我が子の英語は私がしっかり読み書きまで教えます。同じ教室においでませんか?娘と一緒に授業をしましょう。まだ席に余裕がありますから・・・