ブタがいた教室

アメリカ大統領選が終りました。オバマ氏はいろんな意味できっと歴史に残る大統領になることでしょう。得意分野ですので時間を取ってゆっくりお話したいと思います。
    今日は以前から書きたいと思っていた本当にあった小学校の話が映画化されて、そのご紹介です。ぜひ親子でご覧ください、考えさせられる内容です。



ブタがいた教室――実話を基に「命の授業」
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 学級崩壊や学力低下など教育現場に焦点が当てられる昨今、「教育とは
 何か」が改めて問われている。だが、学校では様々な試みが行われてきた。
 そんな先駆的な1例として、1990年から大阪の小学校で実践された「命の
 授業」がある。本作は、その実話を基にした再現ドラマである。
 
 小学校の6年2組は、先生(妻夫木聡)の提案で、卒業までブタを飼い、最後に
 育てたブタを食べるかどうかをクラスの皆で決めることにする。最初は戸惑い
 気味だった子供たちも、かわいい子ブタに名前を付け、小屋を校庭の隅に
 建て、自分たちの家から残飯を持ってきて、いつしかクラスの仲間として
 子ブタを扱うようになる。
 
 やがて子ブタは成長して丸々と太り、子供たちの卒業が近づいてくる。クラス
 ではブタを食べるかどうかの話し合いが始まるが、結論はなかなか出ない。
 食べるのは自分たちの責任だという意見と、それはかわいそうだという意見が
 真っ向から対立。下級生に飼育を引き継いでもらったらいいという人も出てくる。
 
 映画が描くのは至ってシンプル。子供たちがブタを育て、最後に食べるか
 どうかを決めるだけだ。もちろん心優しい校長先生や常識派の教頭先生、
 また口うるさい父兄など登場するが、展開は最初から予想できる。
 そんな映画を、『陽気なギャングが地球を回す』などの前田哲監督は、緊張
 感あふれる巧みな演出で見事に膨らませている。
 
 なかでも生き生きとしているのは26人の子供たちだ。前田監督は彼らに
 せりふが白紙の脚本を渡して、自分たちが思った通りに喋(しゃべ)らせたと
 いう。ラスト近くの討論で子供たちが語る意見や流す涙は、彼らが本当に
 感じたままである。そのドキュメンタリーに近い迫真の姿を通して、映画は
 見る者の心に生きることの意味を深く沁(し)みこませる。1時間49分。
 (映画評論家村山匡一郎

予告編
http://buta.channel.yahoo.co.jp/index.php?itemid=43