親心

  先日街で久しぶりに同級生に会いお茶を飲みながら、昔話に花を咲かせていた。彼は学生時代から優秀で、今地元では有名な企業の管理職をしているのだ。その彼がどうも元気がないので話を聞くと、どうやら娘さんの結婚問題で悩んでいるのだった。
  一番下の娘だから、大切に育て国立大学までやってやっと肩の荷が下りたと思ったらこの不況で、もう少し勉強したいと海外留学までさせたがそれがきっかけで、留学先で音楽修行をしている男性と知り合い結婚する話まで進んだようなのである。「めでたい話やんか・・・」と言ってはみても、彼の複雑な親心は私には大変理解できたのである。「娘がほれて好きな男と一緒になり、幸せになってくれたらそれでいいのだが、いまは勉強中で稼ぎがないというし、娘が苦労することは親としてはさせたくない、かといって反対してこちらの言い分を聞くような子でもない・・・」娘さんが涙ながらに親に抵抗する姿が浮かんできて、つらくなってしまった。
  ふとわが身に置き換えてみた。確かに30歳でこの仕事をはじめ当初は仕事を掛け持ちながらの経営で、自分が食うことに必死だったからもし同じような娘と知り合っても、そんな勇気はなかったであろう。でも女性はそのような経済的なことより「精神的な事、気持ち」を大切にする人も少なくないようであるのだ。だが親は、特に男親はその男の経済力を考え、その娘さんを食わせていけるようになるまで、待てないのか・・・とも思ってしまう。
 「すぐに結婚なんかさせずに2年くらい一緒に生活させて、決めさせたらどうだろう・・・でもまずその留学をきちんと終えさせるべきだとは思う・・・」と話してみた。「そうやね・・・俺もそれは考えていた・・・なんか話して気持ちが軽くなったよ!」と言って彼は去っていった。いろいろ帰りながら考えていた。たとえこちらが望むような結婚をさせても、ダメなものはダメだろうしそれなら子どもの望むままにさせての方が、もしダメだった時に気持ちの踏ん切りもつくのかも知れない・・・

  やりたい事をしないで後悔するよりも、やりたい事ならやってみて後悔する方がやっぱりいいのだと思った。もし結果がよくない方向に出れば、やり直せばいいのである。代償は小さくないかも知れないが・・・でもあと10年すれば、確実にそんな時期が私にもやってくるだろう。やってこなかったらそれも心配だし、生きていく事は難しいものである。自分の人生を振り、これからの人生を曇った梅雨空を見ながら考えた。私の人生は確実に減っている。今を精一杯生きる!これしかない!!塾長のブログはたくさんあるが、こんな内容のブログを書くのは、私くらいだろう・・・




   追伸、ブログには関係ありませんが、高知が舞台の映画が今上映されています。10年ほど前、同じ監督(アーロン・ウールフォーク)が撮った小品にせりふはなかったですが、小学校の教頭役で私は出演しました。最初英語の台詞のある英語の先生役でオーディションがあり応募が私しかいなくて合格?になったのですが、そのシーンがカットになり急遽その役になったのでしたが、タイトルバックに出演者として、名前も流れたのです。もし英語の台詞の役がもらえていたら・・・。
  「黒い羊」という作品でしたが、今回彼は大きくなり再び高知で映画を作ってくれました。人間同士の分かり合えない心の葛藤が、高知を舞台に描かれています。小柄で少し高い声の監督でしたが、ALTの経験があるせいか話してみて、英語が分かりやすかったのを覚えています。
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