チリの鉱山落盤事故

 「奇跡の生還」と各新聞の見出しは、大きくこの落盤救出報道を伝えていた。地下700mでの坑道で落盤事故が発生すれば、まずダメだろうと多くの人は思うに違いない。生存が確認されるまでの17日間はそれは事故当事者たちは、眠れぬ日々であっただろう。退避所があったとか、怪我人がいなかったとかリーダーがいたとか、数々の幸運偶然が重なったとはいえ、互いにあきらめず救助活動を続けまた、希望を持って秩序を守って救援を待ち続けた、いわば人間の執念と信念の勝利とも言えるかもしれない。その影に多くの家族や仲間の励ましがあったことは言うまでもない。やはり人間一人ではない。
 「災い転じて福と成す」「ピンチはチャンス」「変毒為薬」など、逆境をバネに大きく自分を変える言葉がよぎる。どんなに大きな財産を持っていても権力があったとしても、人間には必ず試練はやってくる。そこで尻尾を撒いて逃げてしまうのか、立ち向かうのかでその人の人生の価値は変わってくるのではないか。昨日ソフトバンクの松永選手の最近の話をニュースで見た。一時期チームで4番を打っていた強打者だが不振が続き、昨年はいためた膝の手術とリハビリでシーズンを棒に振ったそうだ。復帰した今年も以前のような活躍は出来ずどん底の状態を救ったのが、息子さんの病気だそうだ。「こんな小さな体で毎日戦っているのに、いったい自分は何をしているんだ!」と思い、奮起し練習、試合に臨み今年は、ソフトバンククライマックスシリーズに導く大活躍だった。
 気の持ちようで人間はすごい力を発揮するものだが、その力を得るには家族や友人、先輩、後輩、同僚などの励ましがあって生まれるのだ。救出された作業員たちは国家的英雄になり、今後は今回の事故を映画や本で売り込むようだ。それで再び人生を変えるかも知れないと思うと、人間のしたたかさと人生何がプラスになって、マイナスになるか分からないものだと感じてしまう。ただ一ついえることはしっかり毎日を生き抜いて、人生を決してあきらめない事だろう。これはもう達観の域であるが、まだまだ日々煩悩に支配されている自分がいる。