どこまで広がる原発事故の影響

 最近事故を起こした原発自体がどうなっているのかはよく分からないが、放射性セシウムを含んだワラを食べた牛肉が全国に出回ったり、ホームセンターで売っていた腐葉土から基準値を大幅に上回る放射性分が検出されたりと、見えない恐怖がじわじわと全国に広がっているようだ。政府はこれらの影響の被害まで補償するようだが、お金がなくてどうしようもないわが国にそんな被害まで補償できる余裕があるのか、と心配してしまうのである。かわいそうなのは小中学生が運動場の土が汚染されていて、戸外での体育やクラブ練習が十分できずにいることである。屋外プールなどはまず使用できないだろう。
 我々は便利さの追求のために、原子力というまだ人類が抑えきれないエネルギーを利用して繁栄してきたが、その付けはとてつもなく大きなものに今後も発展していくかも知れない。数十年たってもし事故を起こした原発周辺で「がん」などが多発すれば、大きな社会問題となろう。
 でも今回、この事故が起こったから改めて原子力に対して我々は深く考えるきっかけになったし、本当の意味での省エネを実践できているのであるから、この教訓を忘れず生かして行かなければなるまい。先日高知で講演をされた鳥越俊太郎氏が「がんを何度か経験して体も鍛え始め、健康に大変気を使うようになり元気になれたのはがんのおかげであり、今はがんに感謝している。」と述べていた。決して今回の原発事故には感謝は出来ないが、この教訓を絶対後世に残す義務を我々は忘れてはいけない。
 そうは言っても広島・長崎に原爆が落とされあの悲惨な惨状から核兵器は絶対いかん!と思った我々だが、わずか六十数年で今に至っては核兵器も国防には必要であると話す国会議員もいる。人類とは同じ間違いを繰り返しながら、営みを続けていく懲りない動物のようである。