ある注意書きから

 先日郊外の温泉に行って面白いというか少し気になる注意書きを目にした。浴槽のお湯が出る湯元に「このお湯は飲まれません。」と書いてあったのだ。普通なら「このお湯は飲めません。」だと思うが、お湯につかりながら「この言い方は随分命令口調だな・・」とか思ったのである。「飲まれません。」と言うときは学校の先生などが生徒に「今は水を飲む時ではないから飲んではだめです。」などいう時に、私たちは「飲まれません!」と使うが、取り様によったら「飲むと体に悪いから飲んではだめです。」にも取れる。だったらシンプルに「飲めません。」で良いのではないか・・・。いやさらに「まったく飲めない事はないが飲んだら体によくないぞ!」とも少しは取れる。う〜ん、日本語は難しいなぁ、などとあれこれ考えていたらすっかりのぼせてしまったのだった。
 同じように今話題の映画「君の名は」も英語では「Who are you ?」とか「What's your name?」とか考えたが、ポスターに「Your Name」と書いてあった。確かに「Who are you?」ならお前はだれだ、になるし、What's your name ?なら「氏名は?」となる。でも疑問文ではなくて「君の名前は確か・・・」みたいなニュアンスなんだろうと、映画も見ていないのに自分では納得しているのである。
Tシャツの横文字もよく分からないのがあるが、その意味が分かる人が見たらおかしい言葉もあるから身に着ける時は気を付けていただきたい。広島の黒田のユニフォームを持っている、大阪には着てゆく勇気はないのと少し同じかなとか、いろいろ一つの言葉から今回は推考してみた。
 今アメリカは感謝祭の休暇でこの週末までは大混乱だそうである。まさしくこのとき頂く七面鳥料理などが各家庭の「The Dinner」と呼べるものだ。ダイエットなどまったく関係のない、すごい量のすごいごちそうが普通の家庭で並ぶのである。こんなことからもアメリカはすごいと若い頃感じた事を思い出した。でも昔ほどアメリカに行きたくなくなったのは、日本の良さが分かってきたからかもしれない。温泉に入りながら些細な注意書きをあれこれ考えられる日本は、平和でやはり素晴らしい国だと思う。