投稿「龍馬伝」(追伸)資産1億五千万、大金持ちだった龍馬の実家

 毎週放送を楽しみに見ている「龍馬伝」、毎回ビデオに残し必ずもう一度見ている。裕福な家に生まれ少しぼんぼん的な一面がある坂本龍馬と、厳しい環境で精いっぱい生きて何とかはい上がろうとする岩崎弥太郎との対比が魅力だ。
 そこに出てくる土佐弁で気になるのがあった。「〜してつかあさい!」とよく出てくる。私は高知で生まれ育ったが、聞いた事も使った事もなかった。調べて見ると鳥取などでも使われている言葉のようだが、昔からの土佐弁であるようで一つ勉強になったのである。そして高知と弥太郎が住んでいた安芸までは今でも車で一時間の距離、当時なら歩いてまる一日要したであろうが、番組の中では頻繁に弥太郎の家を訪れるのである。あくまで小説だからそこまで気にするのは野暮かもしれないが、そんな事が気になるのが「龍馬伝」の違った魅力だろう。
龍馬伝」人気を当て込んで今年の高知が良くなっても、来年悪くなれば何にもならない。博覧会などのハードにすぐ頼りがちであるが、高知を舞台にした文学賞を創設するとか、高知を舞台にした映画を作ったら制作費を補助するとか、全県的に盛んなカラオケ大会を「龍馬音楽祭」とか名づけてテレビ局とタイアップして全国規模にするとか、これからはソフトで高知を売っていく時代ではないだろうか・・・
平成22年3月1日高知新聞「声ひろば」の欄に掲載されました。

(追伸1) この投稿は「龍馬伝」第8話「弥太郎の涙」を見てすぐに送ったものですが、第9話が放送される前に主人公を演じる福山雅治がパーソナリティーを勤める昼のFM番組で、「今回辺りからそれぞれ役柄の生き方のようなものが決まっていきはじめ、話が面白くなっていきます。」と語っていました。確かに山本琢磨の史実を重く描きながら反面、妹佐那について千葉重太郎役の渡辺いっけいとのコミカルな絡みのシーンは、何度見ても笑えます。そして龍馬の刀は長めであまりそっていないのですね。友人とも話しましたが「役者の土佐弁や史実(時間的や地理的な矛盾も含めて)をあんまり気にせんかったら、この龍馬伝はなかなかおもしろい!」となりました。
 ふと昔の大河ドラマ「竜馬が行く」で北大路欣也が主人公を演じ、高知市出身の俳優北村総一郎が饅頭屋の近藤長次郎を演じて、一人だけ土佐弁が異常にうまく浮いていたのを思いだすと、「龍馬伝」に出てくる役者たちの土佐弁のうまさに私は驚いてしまいます。土佐弁もすっかり全国区ぜよ!今後も目が話せない「龍馬伝」です。
(追伸2) 3/7放送の第10話「引き裂かれた愛」も大変心を熱くさせられた内容で、ここでは龍馬を取り巻く女性たちが主人公でした。まず千葉道場の千葉佐那です。女性剣士らしく自分の気持ちを打ち上げながらも、潔く彼をあきらめ土佐に見送ります。当時の女性が気持ちを打ち明けたかどうかは分かりませんが、終生独身を貫き彼の思い出と生きたそうです。ドラマでは後日脱藩した龍馬が千葉道場を訪れ、佐那と最後の練習をしての別れになるようです。このシーンでも、なかなかの演出がなされているようでメイキングシーンを見ましたが、やはり気持ちが熱くなりました。彼女の墓標には縁者が龍馬の妻と書き入れています。そして幼馴染の平井加尾、番組ではかなり二人の気持ちが出来上がって現代劇風に描かれ、龍馬が彼女を探して上士の家臣ともみ合う場面は、映画「卒業」のダスティンホフマンのラストを思い浮かべてしまいました。現実はかなり違うようですがやはり加尾も龍馬への気持ちは強かったようで、自分の意志で京都に上り兄を助けたようです。でも彼女は龍馬の死後兄と行動を共にした勤皇の志士と結婚し、彼は明治の世では官僚として働きその末裔は今もご健在です。そしてもう一人の女性は龍馬の姉の乙女です。今回彼女は典医と結婚していまして、龍馬に「おまさんは好きな人と夫婦(めおと)になりなさい。」と龍馬に話していたように、その後旦那にはかなり女性関係で泣かされたようで、結局離縁してしまいます。しかし、この役を演じる寺島しのぶはどう見ても土佐の女性で、私が小さい時近所にいたような世話好きの気風(きっぷ)のいいおばちゃんに見えますから、成り切っている彼女はすごい女優です。今回気になった土佐弁は「よう言うた!」です。相手の決意に賛同しほめる言葉で私もよう使います。
 このように龍馬を取り巻く女性たちは、将来夫婦になるお龍を含み端から見れば決して幸せな人生は送っていないように思われますが、それはあまりに龍馬の存在が大きかったからではないかと思うのです。その時その時のそれぞれ一緒の時間を精一杯生きたのでしょう。もちろん彼も生身の男です。修行中の江戸や脱藩して各地を放浪していた時、そして結婚しても単身赴任していた長崎では人気もありいろいろ浮名を流した事でしょう。龍馬の御落胤の話は聞いたことはありませんが、今となってはいて欲しかったと思わないでもないです。
 あのような番組が流れてしまうとさもあの内容が史実のように思いがちですが、番組が面白いからこそ、心に響くからこそ同郷人として史実を思い出し、よりこの番組に惹かれるのかも知れません。しかし広末涼子の演技には今回泣きそうになりました。あんな兄貴がおったら龍馬じゃのうてもカミサンにはようせんとおもいますが、話す土佐弁がまっことかわいいです!一方、乙女の土佐弁はなかなか男勝りのような元気な土佐のおばちゃん(はちきん)の土佐弁で、加尾の土佐弁とはまた違うことに気づかれるでしょう。
 やはりこれだけ追伸を書き足す私は、すっかり「龍馬伝」の演出家の思いにはまっているようです。きっと10年位経って撮りためたビデオを見直せばまた新たな感動が私を包んでくれ、青春の熱い気持ちを呼び覚ましてくれることでしょう。いやそれ以上に今の低迷しちゅう高知に「喝!」を入れてくれる作品のように思います。
(追伸3) 3/14の龍馬伝も高知に住んでいる者には熱く感じられる内容でした。あの殺傷あだ討ち事件は本当にあった事件です。龍馬はその事件を悲しみその後土佐の下士中心に、尊王攘夷そして倒幕に大きく傾いていったのは、間違いありません。概して土佐人は明日の自分の糧が心配なのに、そんな事を差し置いて天下国家を気にする気質があります。この私も自分の塾が心配ない事はないのに、他の塾経営者の相談に乗ったりしています。でもそれは他人の道を明るくする事を手伝う事は、自分の道をも明るくする事につながると信じるからです。ですから自分の塾の実績ばかりをこの場で発表しようとは思っていません。塾生の努力と成果を静かに見守りたいし、彼らの将来など私はもっともっと先を見ゆうがです!
(追伸4)3/28、龍馬がとうとう脱藩しました。高知市から車で高速を使っても2時間ぐらいかかる高知のチベットと昔は言われていた梼原から愛媛に入り、海を渡って山口県に行ったそうです。車でも7〜8時間かかる距離で、何を思いながら家族まで大変な事になるであろう脱藩をしたのでしょう。「このままでは日本がいかんなるぜよ!」との思いからでしょうか・・・土佐勤皇党の刺客に吉田東洋が切られた場所は、有名な日曜市のすぐ近くの私の母校の繁華街にあります。テロは絶対いけませんが、そういう歴史があったことは覚えておかなければなりません。
 憂国の感は今でも私は感じます。借金もつれの国家財政、間違いなくこのままでは日本は破産しますが、誰も声高に叫びません。行動を起こして国会周辺でデモもありません。サイレントマジョリティーと呼ばれる物言わぬ大多数の国民は選挙と言う形で、「無血せんたく」を昨年成し遂げましたが、期待しただけがっかりさせられることばかりです。みんなが自分の事だけ考え私利私欲を考えている限り、日本は良くならないでしょう。今こそ先を見越して、教育にお金を掛け次の人材を育てる時です!もう一回「せんたく」せないかんがやないろうか・・・
 「龍馬伝」の話から今の教育の話へと話が飛びましたが、みんなが憂国感を感じるべきではないでしょうか・・・このままでは日本の国はいかんなるぜよ!それを防ぐのにいったい何が今の自分にできるろうか・・・
(追伸5) 4/4、龍馬伝は第2部に入りました。冒頭のタイトルバックもDreamerからAdventureに変わっていました。大きくなってきた龍馬です、土佐を飛び出して九州の薩摩近くまで行き大阪に現れます。これが史実かどうか分かりませんが、大阪であんなに簡単に出会うとも思いませんし、龍馬があんなにかっこよかったとも思いませんが、彼には行動力と人をひきつける魅力があったのは間違いありません。私も同じように会いたい人に会いに行きたいと衝動に駆られます。きっと天は私に近いうちにその許しを与えてくれることでしょう。
 教育テレビの古地図でめぐる龍馬の旅で、今まであまり感じなかったことを知ってしまって、少し彼への見方が変わってしまった。実家は土佐の豪商と聞いていたが、500坪もある家には離れの客間と茶室まであったようだ。そして江戸への剣術修行中は月一両の仕送りをもらっていたようである。今の金額に換算すれば、30万円くらいだというのだ。江戸で2年近く修行したからかなりのお金を使って得た北辰一刀流の目録を得たわけであるが、彼はそれを利用して道場を開くわけでもなく定職にも付かずに、挙句家族も家も捨てて脱藩してしまう。もし自分が彼の親だったらそんな彼を許しただろうか・・・そんな親だから彼が育ったのかも知れないが、それはとんでもなく裕福な家庭に育ったから出来たのかも知れないと思うと、彼への親近感は少し薄れていくような気がしてしまうのである。決して普通の感性の人間では計り知れない器の持ち主だったのだろう。 会いたい人物がいれば日本各地を尋ね歩いた龍馬だが、昔なら時間も経費も数十倍かかったにちがいない。自由に動けた龍馬は大金持ちの息子だったのだ・・考えもしなかった英雄の事実を知って、また見方が変わった「龍馬伝」である。