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日本人の私にも大変ショッキングなパリ、ノートルダム大聖堂火災のニュースであった。ノートルダムとは確か貴婦人とかいう意味で、間接的に聖母マリアを示していると解説書で読んだことがある。残念で仕方ないが、パリ市民の気持ちを推し量ると私のそのような気持ちははるかに超えているだろう。
20代の頃、一度パリを訪問した。片言のフランス語で街中が博物館のようなパリ市内をメトロに乗って移動し、中でも私にはノートルダム大聖堂が一番印象に残ったのであった。荘厳な石造りでこんな大きな建物が1000年以上も前に建てられて、20世紀まで残っていること自体奇跡のように感じられたし、キリスト教の人々への影響は我々日本人のはるかに想像を超えるものなのだなぁ。と若いながらに実感したのであった。
ただほっとしたのは火災の原因がテロや放火ではなくて、改修工事中の失火であったことである。テロリストも宗教的文化財でテロを起こすほど無信心ではないのだろう。この火災がひょっとして、燃料税の高騰で右や左に分かれかけていたフランス国民を、また一つにする出来事になるのではないかとも思う。ノートルダム(聖母マリア)が自らの身を焼いて、今分断しそうなフランス国民を一つにしようとしたとも、私には感じられるのである。
このブログは、平成31年4月27日の高知新聞朝刊読書欄に掲載されました。