懇意にしていただいている出版社の方から「モンスターペアレント」と題する下記のようなメールをいただきました。教育評論家で活躍されている、元中学教師の尾木直樹氏の報告です。
私にも公立中学校に通っている子供がおりますが、下記のような親が実際に存在するとは、恥ずかしく人間として社会人として、到底親としても失格であると言えるでしょう。学校の先生はどちらかというと、人当たりのいい従順な方が多いでしょうから、きっとそのような親は間接的に自分の不満のはけ口として、先生にこのような態度を取っているのではないでしょうか?進学私立校ではまずないことです。だから私学受験が過熱する理由の一つかも知れませんし、学校の先生では「うつ病」が大変多くこのままでは、学校の先生のなり手がいなくなりかねせんから、このような難くせを言ってくるような親には、毅然とした態度で周りが立ち向かっていくべきです。弁護士が学校に必要なのもわかります。でも公立学校だから言える無理難題、これが社会人なら完全にその子は会社は首で、社会的にも抹殺されます・・・そんな事が分らない親だから、モンスターペアレントになるのでしょうね。その子どもも親になったら後をつぐのでしょうか?・・・
ちなみに英語ではモンスターペアレントと言っても通じません。過保護でしょっちゅう学校に我が子のことでクレームを言う親のことを「ヘリコプターペアレント Helicopter parents」と言います。いつも学校の上を旋回して監視しているような意味からだそうです。
モンスターペアレント
今学校では「モンスターペアレント」が問題になっています。
尾木直樹・臨床教育研究所ではそれについて全国から750の事例を集
め、報告書をまとめました。
回答者(教員8割弱)の9割が「困った親がふえている」と答えていま
す。塾現場にも関係することなので、「困った親」の事例をいくつか
揚げておきます。ご参考にして下さい。
◆深夜に教育委員会の担当者と担任を呼び出す。言う通りにするまで、
帰さない。
◆休日も含め、子どものことについて携帯に連絡を入れてくる。毎日、
平均で2,3時間おきだった。すべてのことについて、どうしたら
よいのか、意見を求められた。
◆何につけてもクレームを言ってくる。自分が全て正しいと思い、他
人の意見を受け入れない。話をしても揚げ足取りばかりで、話の本
題に迫ることができない。
◆部活の試合で「なぜうちの子をださないのか」と問われた。
◆親の気分で子どもを転校させる。
◆子どもの言うことをうのみにする。
◆子どもがクラスで友達とトラブルになったとき、相手だけに非があ
ると思い込み、学校に文句を付ける。成績に満足(納得)できないと、
クレームを付ける。具体的な理由を説明したが「成績は上がらない
のは学校や教員の責任」と言われた。
◆夫婦間やお金の問題について、昼夜に関係なくメールをしてくる。
◆児童相談所に相談を持ち掛けたら「何で言ったのか」と文句を言わ
れた。
◆子ども同士の遊びの計画をやめさせようとしたが、できなかったた
め、「先生から言ってやめさせてくれ」と頼まれた。
◆ケガをした子どもがいたので、親に迎えに来て欲しいと伝えたとこ
ろ「仕事中なのになんで送ってこないのか」と文句を言われた。
◆学校の決まりに「例外を認めてくれ」とクレームを寄せられた。自
分の思い通りにならないことがあると「夜道に気をつけろ」「子ど
もが1人にならないよう見ておけ」「家に火をつける」などと脅し
てくる。
◆夏休みの宿題について「うちの子はできないからしません」「計算
のやり方がわかっているのだからドリルなどしなくてもよい」と言
う。
◆学芸会の配役で、Aは自分の希望でセリフの少ない役を選んだ。し
かし、保護者から「こんな役では見に行く気がしないし、子どもも
参加させない」と激しい抗議があった。Aは地元有力者の孫。
◆いじめの加害者が、学校では認めたのに、家では否定した。親は
「加害者にされた」と苦情を言い続けて、引き下がらなかった。今
も関係は修復できていない。
◆教員への子どもの不満をうのみにし、PTA役員の間でうわさを広
めてしまう。
◆塾の宿題があるので、学校からは宿題を出さないでほしいと要望す
る。
◆不確かな情報でも、メールでうわさを流してしまう。うわさに出て
きた子どもの親に、それを連絡する。元気な子どもが風評被害を受
けることがある。
◆喫煙で停学になった生徒の親から「将来、この子が就職する際に、
不利になったらどのように責任をとってくれるのか」と言われた。
◆夜間、何時間でも話し続ける親がいる。事実でないことを県教委に
訴えたりすることも。
◆子どものことについて、刃物で脅してくる。
◆給食費を取られるなら、学校へ行かせないと言う。
◆休日の夜、「コンビニにたむろしている中学生がいるので、早く帰
してほしい」と電話がかかってきた。
◆うつ病の親子と担任として接してきた。親にどんな言葉を掛けても
悪くとらえてしまうため困った。
◆家庭同士のトラブルを、学校に持ち込もうとする。子ども同士では
問題は解決しているのに、親が寝堀り葉掘り聞き出し、警察に訴え
たり、相手の家に連絡をするなど大きなトラブルになった。
◆授業よりも家庭の仕事を優先し、平気で学校を休ませる。
◆親子とも起きられないので、朝、モーニングコールをした。担任以
外の職員が家まで迎えに行ったことも。
◆自分の子どもをどんな子にしたいのか、先を見ない。思い通りにな
らないことの方が多いということを教えずに、何でも助けてしまう。
◆茶髪やピアスなど生徒指導上の課題がある子どもがいる。親は「他
人に迷惑をかけていない」と思い込み、ルールを守らせようとしな
い。
◆自分の子どもだけを大切にしてほしいと望む親。相手の子どもの立
場や気持ちはまったく関係なく、自分の子どもだけが楽しくあって
ほしいと話す人。
◆学校の教卓の中に盗聴器を仕掛けられ、毎日のように、授業のダメ
出しを受けた。
◆子どもの悪い行いを指摘すると、「教師の指導の仕方がいけない」
と攻撃された。
◆子どもの言いなりになる。学校は行かなくてもいいと言う。
◆子どもに興味がない。
◆朝、「子どもが気に入った服がないから、学校に行かないといって
いる。なんとかしてほしい」という電話があった。
◆離婚家庭で、親権のある父親に子どもの問題を話したところ、納得
して理解してもらえた。しかし、母親は不満を持ち、教育委員会に
伝えて問題を大きくした。
◆携帯電話を持ち込み禁止にしているが、親は「必要なので持たせた
い」と協力してもらえない。
◆不満を感じることがあると、学校に電話して、自分の感情を処理し
ようとする親。
◆子どもが落ち着きがなく、決まりを守ることができないことを伝え
たら、「指導力不足」と一蹴された。
◆学習発表会でビデオを撮る都合上、自分の子どもを近くにしてほし
いとねじこまれた。
◆毛筆の学習で、他の子に墨を付けられたというクレームがあった。
毛筆をすることは分かっているのに、「高い服なのに」と言われた。
◆部活動の指導や方法、作戦などに口出ししてくる。
◆大会の応援に来なくてもよい生徒が、来ようとしたが、下車駅を間
違えた。生徒はタクシーで会場に来たが、親からタクシー代を払う
ように抗議を受けた。
◆いじめ問題を解決するため、聞き取り調査をした。翌日、匿名の電
話があり「いじめはどこにでもあるもの。先生のころもそうだった
はず。教師が手出しすることではない」とまくしたてられた。
◆組織的に「教師いじめ」をする。
◆携帯代に20,000円くらいかけ、子どもに5,000円以上の小遣いを与え
ているが、給食費や学校行事の代金をずっと払わない。電話をして
も「お金がない」と言って払おうとしない。