考察 必修化される小学英語への塾の対応

 小学校での英語がこの春から必修化されるからか、いろいろな書籍に小学英語の指導法が多々載っていますが、果たして塾でもそこまでやる必要があるだろうか・・・と思ってしまう内容もあります。私の教室は英会話教室とは一線を画した小学生英語(中学英語の基礎)を20年近く教えていて、高知ではその「老舗」といえるかも知れません。また小学英語を望まれる保護者にもタイプがあって要望はさまざまですが、特に過剰な期待を寄せる保護者の方には驚いた事もありました。
 都麦出版の小学英語学習会http://www.tsumugi.ne.jp/news/2009/11/post_32.htmlでもお話させてもらいましたが、私たちが学習塾で教える小学英語は、英会話学校の小学コースとは違うことをはっきり親には言っておく必要があります。塾でも国語を教えますが、日本語会話はメインでは教えない事と同じです。また小学生の英語は学校でも学習塾でもまだメイン科目ではないので、主要4科目ほどすることはないと考えます。
 私は小学英語をアルファベットからリスニングを必ずさせながら繰り返し何度もやって、その順序は「聴かせて言葉にさせて読ませてそして少しずつ書かせる程度」で十分だと思います。授業も忘れない程度の回数でいいのではないでしょうか、がんばって毎週数時間やっても普段やっていませんから、覚えてもすぐわすれがちです。でも子どもは少しやるとすぐに覚えますから、保護者はその光景に満足し自分の子どもを英語の天才かもしれないと思いがちですが、すぐ覚えるということは、すぐに忘れるということです。幼児から始めたとしたら中学に入るまでは続けてください。そうすればたぶんその子は、中学でもすばらしい英語の能力を発揮するでしょう。でも現実は、その間に学習塾にいかせたり、ピアノやそろばん、受験塾とetc・・・で英語はほとんどの人が辞めてしまいますから、何もやっていないと同じ状態になってしまいます。
 ピアノを例にとって考えましょう。小さい頃からピアノを習って流行り歌が即興いや、楽譜を見ながらでもそこそこ弾けるようになるのはどれくらいかかるでしょうか?毎月学習塾代くらい払いながら、ずっと高校生まで続けてようやく大人になってひたすら練習した曲が、人前で披露する事が出来る程度かも知れません。ですから英語に関しても「何で小さい頃から習わせたいのか・・・」という事を、親がはっきり分かっていないと、ただのファッション(流行)で終わってしまいます。一生のうち普通の人がピアノを人前で披露する機会が、何回あるでしょう?英語も似ています。小さい頃から英語を学ばせる親の心理は、中学高校で英語でいい点数を取ってもらいたいし上級の英検なども取り、やはり国際人として英語の使える我が子になってほしいからでしょうが、それは大きくなってからの事、小さい頃から始めてもせめて中学校に入るくらいまでは続けないと、ほのかな親の期待はまちがいなく叶いません。
 私は小さい頃から英語を学ばず、中学高校と学校の英語があまり好きでなかったのですが、英語を身に付けたいという夢はありましたから映画や音楽で触発され、その取得手段を大人になって論理的に実践しまた、集中的に学習したので身につける事ができました。才能もあったかも知れませんし、好きな映画や永年やっていた音楽で鍛えた耳が、語学学習で大変役立ったと思います。だからプロになれたのでしょう。飯の種ですから、今でも勉強は続けています。
 でもそれよりは普通の方は小さい頃から、硬筆や習字を習わせなさい!と私が主張する理由はここにあります。日本人ですから、字が上手で何の損にもなりません。そして英語は、小学高学年から中学英語でまずは分からなくならないような基本的な事を学び、必ず言語の一番基本であるリスニングをしっかりやっていけば、言葉ですから話したいという気持ちがあれば簡単に話すくらいはできますから、心配ありません。
 小学校でも教え始めたら「何とか英語がぺらぺらになるように、子どもに英語を教えてください。」なんて小学校の先生も言われるかも知れませんね。でも英語を始めて算数や他の成績が下がると「今は英語の勉強はいいですから、算数のテストの点数が上がるようにしっかりやってください。」と塾には言ってきます。ですから、どうせ小学校で英語を取り入れるなら、中学受験にも正式科目として入れられるようなレベルで教えないと、結局中途半端になってしまうのではないでしょうか、そして、少し英語をかじった子どもが中学校に入った時にまた、新たな悩みが中学の英語の先生を苦しめそうな気がするのです。小学校間での英語の教え方のレベルの違いが万一ありすぎると、結局は中学校の先生は今と同じ事をやらなければならず、変に英語が簡単みたいなイメージを持った子どもが増えると、文法や構文などを教える時に今まで以上の苦労を、中学校の英語の先生が強いられそうな気がします。
 逆に小学校で中学英語の大半の内容を済ませてしまうような分かる生徒が入ってきてもまた、中学の英語の先生はやりにくいのではないでしょうか・・・塾はあくまで学校の方針に沿って授業をしていますから、学校にあわせることは大事ですが、小学英語の場合子どもの能力に合わせて授業をする事が、より肝要であるように思います。やはり中学への英語を考えるなら、遊びばかりでは英語は身につきません。

今日は少しアカデミックな英語の話で疲れましたので、ここで一つ英語のジョークを、

「子どもがおいしいアイスクリームを食べて、あまりのおいしさにその子どもが取った行動は?」

答え  あまりにおししいので、思わずその子は「 I scream !」・・・・お後がよろしいようで・・・チャンチャン