小学英語雑感 

  約一ヵ月後に先週ご紹介した小学英語の学習会が開かれますので、それに使うレジメを考えていました。
1部ではこれから小学英語コースを始めようとする先生に、どのようにやったら英語の発音がきれいになるかという内容と、いくら自分が出来てもその方法を生徒に教えられなければ意味がないので、それの教授法を話す予定です。そして2部では小学英語の経営方法についてを考えています。わずか3時間ですからこの学習会の参加者各自が、問題視している事が全部解決できる内容ではないかも知れませんが、「参加して良かった!」ときっと言っていただける内容ですので、特に英語は発音を含めて自信がなくとても教えるなんて出来ない・・・なんて思っている方にはぜひ参加していただきたいと思います。きっと京都まで来て良かった!と思っていただけます。
 できるだけ参加者に実地体験を通して発音方法なども説明するつもりでいますが、その中ではあまり専門的学術的な事などには触れず、「私の教え方即教え方の見本」の如く初歩のレベルの方でも分かる話を、するつもりでいます。ですからここでは本来学習会で触れておきたい内容ですが、時間の関係でお話できない内容について少し触れておきます。将来的に英語を教える余裕が出来ましたら、アメリカの歴史や文化などを一緒に学ぶとよりあなたの英語力は幅を増すことでしょう。難しいことでなくてもいいのです、たとえばなぜイギリスは日本と同じ左側通行なのに、アメリカは右側通行なんでしょうか・・・とか生徒に話すと、授業がすごく盛り上がり面白い物になります。

 今私たちがやろうとしている小学英語の教え方の原点は、アメリカでの永い歴史のある英語教育にあると言えます。アメリカ国家は移民の国です、最初にイギリスから迫害されて、そこに移民してきた清教徒たちが英語を使っていたので、英語が国語的に広まっていきました。しかしフランスからの移民はセントローレンス川に沿って入ってきましたので、カナダ東部と今のアメリカ東北部にはフランス語圏ができました。ですから今でもカナダは西部は英語、そして東部はフランス語と国語が二つあります。もしこのとき大勢の日本人が移民してきたら、日本語もアメリカで使われていたかも知れません。
 アフリカからは主にプランテーションの労働者として、ヨーロッパやアジアからは移民や建設労働者として19世紀には外国出身者が急激に増え、いろいろな言語を持った人々が同じ国家で生活しなければならなくなり、どうしても共通語である英語を国家として教える必要に迫られました。それで国家プロジェクト的な英語教育が始まったのです。文法とか学問ではなくて生活する上で絶対必要な英語力を、短期間で身に付けさせる方法をまず模索し結論として、いろいろな言語を持った人がその言語を覚えた順番で、教えるのが一番良いと結論付けられそれが「聴く−話す−読む−書く」の流れの学習です。そして一番公立大学で古いミシガン大学(1817年設立)は古くから英語教育に取り組み、そこで学んだ英語教師が全米に教えに出たので、諸説ありますがそれで標準語としてミシガン州などを含む中西部の英語が、標準的な英語として現在マスコミ等で使われていると言うことです。そして同大学に大学院の施設として、英語言語研究所ELI(ENGLISH LAGUAGE INSTITUTE)が設立され、言語基本理論に沿った英語教授法が考え出されました。その中で一般に使われるパターンプラクティスはAL法(Audio Lingual)と呼ばれ世界中に広まりました。これが世界中でミシガンメソードと呼ばれる教育法です。
 でもこれは成人を対象とした教え方で子どもの英語指導法には向かないと考える向きもあり、子供向けには形にはめない、遊びなど日常生活の中から本来の意味を学習させるCLT法(Communicative Language Teaching)があります。確かに母国語を覚えた順には、小さいころから遊びの要素が多かったわけですから、いきなり英語の読み書きを教える前にそういう遊びの要素が必要であると考えるのは、自然かも知れません。ですから日本ではこの方法が小学では取り入れられるようです。
余談になりますが私の英語は、この標準米語で学び多大に影響を受けておりますので、出会う皆さんにきれいな発音だと言われます。また映画などでお分かりかも知れませんが、イギリス英語とは発音の仕方、イントネーションは全く違いますから、たまに初対面のアメリカ人にイギリス英語で話しますと、本当にびっくりされます。
さらに面白い話があります。語学は耳から言葉を学ぶ証拠とも言える話ですが、滞米中にきれいなアメリカ人女性が私が日本人だと知って、日本語で話しかけてきました。金髪の青い目のちょっとドキドキする女性でしたが、なんと大阪弁で「おっさんどっからきたん?」とアメリカで聞いたのです。本人はまったく悪びれておらず、さも「どこからこられたのですか?」みたいに話していましたから、声が出なかったですね、何か特殊で異様な違和感が私を支配したことを覚えています。その女性は小さいころ近所に、そういう大阪弁を話す日本人の子どもといつも遊んでいたそうでした。そういえば「沈黙シリーズ」で有名なアクションスターのスティーブン・セガール大阪弁を少し話しますけど、インパクトはその比ではありませんでした。
 AL法とCLT法のどちらがいいのかは分かりませんが、中学で読み書きの英語がしっかり始まりますから、いま小学校に上がる前にほとんどの子がひらがなや簡単な漢字の読み書きが出来るように、基本的なアルファベットや単語そして構文の学習は中学に入る前に始めていて損はありませんし、私の経験ではそれらを学習した生徒は大した苦労もせず英語の成績は良いのです。そして特筆されることは、先生がきれいな発音をするリスニングを伴ってのこういう小学英語を学習した生徒は、発音もいいと言うことです。教える先生がきれいな発音を出来ればいいですし、繰り返しCDなどで学習することは想像以上に大切です。

 長くなりましたが、このような話を具体的に、分かりやすく実践を兼ねてするつもりですので、どうかご参加下さい。