アイキャンノットスピークイングリッシュ!

 今年は多くの日本人がノーベル賞を受賞し、受賞式典では異例の日本語での紹介が行われたようである。理科離れが問題になるわが国だが、やっている人はその世界でしっかりがんばっておられる証拠であろう。
     その中でも特に益川敏英氏(京大名誉教授・現京都産業大教授)の言動は、多くの人が注目しているようで、一挙手一投足が報道されている。特に「私は英語を話すことは出来ません。」と前置きをして堂々と日本語で、スピーチをする姿に私は大変感動した。そして「英語を話せない事の何が悪い、私は私の研究を日本語で書き世界中の人に読んでもらうのが夢だ。今後も英語は勉強しません!」とはっきり言い切ったところは、少し欧米に劣等感を感じた事もある私としてまた、英語を少しかじったものとしては大変共感でき、「良くぞ言ってくれた!」とひざを叩いた。
     英語がなぜ世界の共通語になってしまったのかいろいろ諸説はあるが、英語を若者に教えていて「英語よりも日本語をもっと勉強しろよ・・・」と思うことはよくある。受験生には英単語も教えるが必ず漢字も学習させている。彼らがこれから日本人として生きるうえで、難解な英単語よりも漢字のほうがはるかに役に立つことが多いから、まずは英検よりは漢検を勉強しろと勧めている。
     中1英語で分かるように英語は最初は簡単に始められるが、やればやるほど難しく切りがない。日本語も学問としてははるかに難しいだろうが、話す事に限定すれば日本語は外国人にとってそんなに苦労はないようだから、会話的には日本語が世界言語にとって変っても何ら不思議はないと思う。英語の発音はほぼ日本語の発音を含んでいるが、日本語には英語にある発音がない物が多い。英語には舌をかんだ音や破裂する音、中には無声音まで存在するからだ。

     言語論のことはこれくらいにしてこれからは、外人から「英語が話せるか?」と聞かれたら逆に「あなたは日本語が話せるか?」と聞き返す時代になるかも知れない。日本人ならまずは日本語を勉強し、美しい言葉で話ができたり文章が書けることがまずは先決であろう。日本語もろくに読み書きもできない子供に英語を教えて、日本で英語をマスターさせる前に親のあなたが、英語を勉強するべきである。そういうと「私は英語がまったくだめだったので、少しでも苦労させないように今から習わせるのです・・・。」という答えが聞こえそうだ。
ふとこの親たちはどれくらい漢字を知っているのだろう・・・と思ってしまった。