高校入試に思う

 今年も2/8,9にわたって県立高校の入学試験が行われました。小学生時に私立や国立の中学受験を経験していない生徒や保護者にとっては、やはり不安であったでしょう。教室に来る生徒の表情も受験日が近くなるにしたがって緊張してくるのがありありと分かり、何とか頑張って合格してもらいたいと祈るだけです。
 私の持論ですが、やはり高校入試は10代半ばで乗り越えなければならない人生のハードルとして必要なものと考えます。あまり勉強しなかった子が入試があるので勉強を始めます。塾で習うだけでは不足ですから、自分でも机に向かうようになります。さらに受験日が近づくにつれ精神的に動揺してきますが、この気持は自分だけではないと悟り、再び机に向かいます。そして終わってみれば大したことない、みんな経験している事だと分かります。その瞬間そのお子さんは大変成長しているのです。苦しいからこそそれを自分で乗り越えて本当の成長があるわけです。
 よく小学生の保護者から「地元の公立中学が荒れているから、私立に行かせたい。」というような話を聞きます。さもその公立中学が無法地帯のジャングルのような響きに聞こえるのです。でもそこで教えている先生は行かせたいと思っている私立中学の出身者だったりするわけです。それらの先生が懸命に生徒指導をしているわけですし、その甲斐あって県立や私立のトップ高校にもその中学から合格者を輩出しています。でもその私立中学の厳しさは入ってからしか分からないわけで、学校によっては上位3割のレベルにあわしていますから、残りの7割は落ちこぼれるわけです。そしたら塾へも行かなくてはなりません、いや特別な授業をやっている場合などありますから、普通の塾では対応できませんから、家庭教師が必要になったりもします。本当に頭が良くて、金銭的に裕福な家庭のお子さんが進むべきです。
 そしてわずか12歳で人生を決めることはないと言うことです。多感な中学生時代にいろいろな経験を積み、高校で工業や商業、抜群の就職率の高専などに行きたくなるかも知れません。不景気な今は手に職の付くこれらの学校が大変人気があります。でも中学受験には多大に親の考えが反映されがちですから、子どもの気持ちなど出にくいこともあります。また公立中よりは良かれと思って入った私学がもし合わなければ、6年間我慢しなければなりません。とりわけ県立高校の看護科などかなりのレベルになってきていますから、選ばれて入った生徒たちはそれは優秀でしょう。県下のトップ普通高校よりそちらに行かせたいと私の知っている保護者も話していました。
 大学生の就職が厳しい今の時代、普通高校の進路希望コースに看護科受験専門コースなど作るなど、変わる必要があるようにも思いますし、人によっていろいろな道はあるでしょうが、高校入試はやはり人間成長において役立つものだと改めて感じます。