学習塾のブラックバイト問題

 昨夜のニュースで家庭教師のアルバイトをやっている学生が、辞めたいのに勝手に辞めると契約違反で数万円のペナルティーを科せられるから、辞められないというおかしな実態が報道されていた。学生の本分は勉強であるのに大切な試験中でも就職活動中でも辞めるにやめられず、嫌々アルバイトを続けさせられているのである。後で弁護士が話していたが労働契約において、辞める時にペナルティーが発生するなどの契約事項は契約書に書いてはいけないそうで、それが書いてある事自体が違法であると話していた。それを家庭教師派遣会社は知っていながら隠して学生に契約させていた節が見られ、それを公に指摘されて新たに契約書を交わすべく今準備しているとのことだった。何ともひどい話である。家庭教師派遣業者が全部そうだとは言わないがとかく問題のある家庭教師業界、生徒の事を思って真面目に指導している家庭教師もいるだろうし、生徒としては家まで来てもらって習うメリットは少なくないとは思うが、やはり人材難なのだろう。そして企業であるから利益を追求しなければならないのであるから、高かったり講師が来るまでどんな人か分からないなどのデメリットは仕方ないだろう。
 塾に関しても同じような事が言える場面はある。労働集約的な業種であるから授業料の大半は講師への給料である。いわば人件費だ。塾長経営者にすればできるだけ短く使って能率よく授業をしてもらい利益が上がるように考えて当然なのだが、遅くまで電気がついている塾は塾長が一人で残務処理をしているのならともかく、夜10時を過ぎると3割増しの深夜料金を経営者は払う必要があるが、深夜にその塾の関係者であろうか数人が教室前でたむろしている姿を見かけることがある。しかし翌日午前中から教室にまた同じスタッフが入っている様子を見ると、若いのにこの人たちのプライベートな時間や家庭はどうなっているのだろうと、同業者として心配してしまうのだ。
 昔「君たちは将来日本を背負って立つ若者を教育している素晴らしい仕事をしているのだ、子供の成長を関われる喜びは、銭金の問題ではないやりがいのある仕事だとは思わないか・・・」などと口のうまい経営者の塾長が若い講師たちをある意味洗脳して、とんでもない安い時給で使っていたような話を聞いたことがある。今どきそんなことでただ働きするような若者はいないとは思うが、頭のいい経営者は社会ボランティアなどの言葉で巧みに誘い、高級車を乗り回す甘い汁だけを吸っていた塾経営者も存在したのである。だから得体のしれない塾長がやっている安すぎる塾は、敬遠されていた。
 本来小学生や中学生に「早寝早起き朝ごはん」のような健全な世界を提供すべき学習塾が、アルバイトを雇い深夜まで灯をつけて仕事をしている様子はやはり、ブラックだと言われても仕方ないような気がするのである。また遅くまで明かりのついている塾は仕事を早く終われないきつい塾なのだ、と思われているかもしれない事を経営者は忘れるべきではないだろう。私は夜10時前には特別な用でもなければ教室を出るようにしている。帰宅し遅い夕食を食べると健康面を考えてその後数時間寝られなくなるからだ。でも10時に教室を閉めそれからアフターファイブが始まる塾長もいるかもしれない。多分帰宅は午前様だろうからこのような塾業界人が健康診断を受けたら、間違いなく何かで引っかかるだろう。永く元気に責任ある塾業を続けるためにも、早めの店じまいは何ら恥ずかしいことではない。
 みなさんも深夜まで電気がついている塾があればチェックされてください。誰がやっているのかはっきりわかっている塾ならともかく、そんなに歴史もなく異常に安かったりどんな素性の人が経営者かはっきりわからない塾などは、自分の健康など顧みない不健康な塾長がやっている塾かもしれません。