ある塾長からの言葉から

自塾設立14年、それ以前は大手塾で講師を10年以上されていた、ベテラン塾長の言葉です。

「子どもたちが、できるだけ能動的に学習を進めて、その結果として成績が上がる。このようなスタイルの塾ができないものか…今から14年前、塾設立へのきっかけはこれでした。成績がグングン伸びている子はこちらがあれこれ指示を出すまでもなく、放っておいても勝手に勉強してくれます。例外なく。逆にいつまでたっても手取り足取りの指導が必要な子は分かりやすく教えてもらえたという一時的な満足感はあるのでしょうが結果は…。ここまで多くの指導経験を通して辿り着いた境地です。教えてくれる先生がいなければ、勉強を進めることができない。こんな環境に慣れきった子どもたちは、果たしてこの国の将来を背負っていくことが出来るのでしょうか?勉強とはそれ自身が目的ではなく、自分の志や夢を実現するための手段にしかすぎないのですから・・・。

 私は日々、生徒さんの全ての質問にお答えしていません。意図的に。なぜなら、それでは最も大切な考える力」が養われないからです。確かに個別指導の利点のひとつとして「分からない所は何でも聞いて教えてもらう」ことが挙げられるでしょう。私もそれを全て否定するつもりはありません。ただ、その教えることと、もう少し自分で考えさせるという大事なさじ加減を間違えてしまえば子どもは依存心ばかりが大きくなり、結果として自分で考えようとしない体質に陥ってしまうことが殆どなんです。

 一般的な個別指導塾の講師はパートタイマーです。彼らにプロの指導技術を求めるのは酷と言うものです。しかし私は学習指導のプロです。「教えるべき場合」と「ヒントだけに留める場合」の見極めができます。一人ひとりに対しての、こうした小さな指導の積み重ねにより考える力を養い、それを蓄えることで「学力」が備わります。私は学力向上を最重要課題としていますので、ややもすると「質問に答えてくれない」と思われがちですが、良い意味での突き放しはします。なぜなら子ども達の学力向上に絶対に必要なことですから。

 誤解を恐れずに言いましょう。塾の使命は「教えること」ではありません。それは単に塾側の自己満足でしかありません。塾の使命は「学力」を上げることです。学力とは「生きる力」の基本となる能力です。それを向上させることが子ども達には必要だと考えます。「高い目標」を掲げるのも土日も教室を開放するのも全ては生徒さんの学力向上のため必要だからです。時には辛いことを強いることもあるでしょう。しかし、空中で腕の曲げ伸ばしをしても腕力はつきません。ある程度の負荷がなければ人の能力は向上しないようになっているのです。学力も同じです。子ども達にとって必要なのは「学歴」という薄っぺらいレッテルではなく、「学力」という確かな能力です。私の塾では一切の妥協はしません。すべては「子どもの学力向上のために」と考えています。」

 

 私も彼の言葉を聞いて、塾設立の頃を思い出していました。38年前とは日本も日本人もそして世界もすっかり変わってしまいましたが、塾の使命は変わっていないと私は信じます。コロナ禍でいかんともしがたい今の環境ではありますが、やはり昭和生まれの志は、しっかり持ち続けていたいと思います。

 塾の先生は友達ではありません。フレンドリーなどと言う言葉は、先生には使うものではないのです。やはり教えてもらう以上敬語で話しましょう。勉強は分かる人もいれば、すぐには分からない人もいます。でも私は生徒さん達を親御さんから預かって大切に考えていますし、昨日よりは今日そして明日に成長する手助けをできる事に、無限の喜びを感じているのです。その喜びが40年近くの私の気持ちを支えてくれてきました。そして塾にも礼儀は必要だと信じ、小学生から高校生まであいさつで始まり、あいさつで終了させています。

 塾って何だろう?と考えた時に、やはり熱い気持ちを持って塾を作った塾長が、その塾長のもとに集まる生徒をいつも一人一人直接指導監督することが、本当の塾のように私は思います。でもいつの間にか塾が企業化されてしまい、大した人生経験もない学生たちに我が子を預けます。またその学生たちはすぐに辞めたりするのです。アルバイト感覚で仕事の責任が重く精神的にきついからです。今は同じ時給でもっと楽な仕事がいくらでもあるからですね。

 かけがえのないあなたの大切なお子さんは、実績や歴史もあり人生経験豊富な熱い心を持った塾長の塾に預けるのが、やはり一番いいのではないかと思います。

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