パーフェクト・デイズ

 年末にこの映画を観て正月明け1番のこのコラムに、その映画の感想を書こうと思いながら正月元旦に能登半島地震などがあり、ついつい感想を書きそびれていました。

 アカデミー賞にこの作品はノミネートされているようです。内容的には大変地味なお話なのですが、こういう平凡な小市民の生活の様子を海外の人から見たら、また日本人とは興味深い国民だと、思ってしまうのかもしれないとも思いました。昭和30年代の小津安二郎の作品のようなものかもしれません。

 内容についてはここでは紹介を割愛しますが、私には主人公の何もない部屋が意識的なものに見えたのです。主人公の姪が家出をして主人公の部屋に数日間泊まるのですが、その間主人公は階下の台所?で休みます。しかしその部屋は、荷物を整理した段ボール箱で一杯だったのです。明らかに二階の部屋は意識的に物を置いていない部屋なんだと、私は解釈しました。そういう目で主人公を見てしまうと、どうも彼の生き方が不自然のような気もしたのです。マメでないとあの何もない部屋は保てないでしょう。

 仕事や日々の暮らしにも彼の生活はシンプルな物でして、新聞のこの映画評価に「こんな風に生きていけたら・・・」と書いてありましたが、世の中こんな人ばかりだったら、社会的な進歩は止まり不景気になるでしょう。いやその国は強国に侵略されるかもしれません。

 なんて思う私に「パーフェクト・デイズ」は多分来ないと思ってしまいました。