信じられない世の中だから・・・

 最近信じられない事が起こっている。一生の棲家として大枚はたいて買ったマンションが何と意図的な手抜き設計の強度不足で震度5ぐらいの地震や、さらにマンション自体の重量で自然に倒壊するかも知れないというのである。私もマンションに住んでいるが、下の階は柱が大きく上の階にしたがって柱は小さくなっており、素人目にもその理由は理解できた。ちょうど阪神淡路大震災直後の入居だったのでそれに関する我々住民の関心は強く、特に耐震性について詳しく建設会社が説明していたのを覚えている。当時は役所が構造計算など検査していたようで、心配は要らないとマンションロビーに張り紙があった。何を信じたら良いのだろう・・・専門的な事は買い手にはわからないから、購入にあたって取り扱い業者の評判や社会的信用を目安にするしかないが、それが根底から覆されるような事件である事がこの問題の根深さを表している。自衛手段としては業界の知人などから、その会社の評判なりを事前に聞くぐらいしか私は思いつかない。
   そしてもうひとつは、同じ仕事をしている者としては何ともやりきれない事件が、京都で起こってしまった。塾の講師が教え子を用意してあった包丁で、刺殺したというのである。大学生のアルバイト学生だったようだが、子供や保護者にはそんな事は関係なく「先生」なのである。大学生と言っても優秀な学生も多く、そんな彼らが同じように思われないか心配だ。ましてや現役大学生のみが自宅まで伺って、家庭教師をするのを売りにしている業者もあるくらいだから、現場の様子はどうだろう・・・大学生とはいえ大人の先生が小学生の教え子に「殺意」を抱く、それも衝動的ではなくて計画的に・・・何を信じたら良いのだろう・・・

   以前ある生徒を個人教授していて、大変優秀なので少しでも現役生の情報や雰囲気を知ってもらおうと、アルバイトの大学生に任せた事があった。私はもっと手のかかる生徒を見ていたのだが、その大学生講師とその生徒は女同士で話も合い、年齢も近いので勉強も楽しくやっていたから良いと思っていた。するとある時その保護者の方から「小笠原先生が直接見てくれるので子供を預けているのですから、先生が見てください・・・」とクレームが入った。理由をいろいろ説明したがやはりダメで最終的に私が見るようになった事がある。確かに私の名前を出して生徒を集めているから、その保護者とすればもっともな主張であったのだ。それ以来学生アルバイトは雇っていない。パートの先生に手伝ってもらう事もあったが、必ず事前に保護者に相談して了解をいただいた。
    ただ英語のヒアリングなどでは以前はカセットやCDを利用したが、今ではパソコンをブロードバンドで利用し聞かせている。まさか機械でやらず生の声で教えろ・・・と言う人は今時いないであろうが、塾でパソコンを教材のひとつとして使います、と言うと「パソコン?」と言ってケゲンな顔をされる方もたまにいる。そんな方は多分パソコンの操作などで出来ない人だろう。あらゆる分野で機械が出来る事は機械でやって、その恩恵を多大に受けている21世紀になっても、そのような人がいること自体嘆かわしい。IT立国などこの人達がいる限り無理かも知れないが、私は「学校の勉強も出来てさらに、パソコンの操作も覚え慣れ親しむ事も出来ますから、よりいいのではないでしょうか。」と話をすると賢いお母さんはわかってくれるのである。常識として塾の仕事で人でしかできない事は多数あり、それらの事を精一杯フォローしているから結果も出て、生徒も保護者も満足して私の塾がなりたっている。だからパソコンのシステム環境は、常に最良の物を揃えているつもりだ。

   常に新しい事を始めると2対8の法則で2割の人は理解できなくて、反対するのが世の常であるから、今の教室の流れはきっと時間がたてば本流として大河の流れを成すに違いない。『パソコン先生は決して怒りません、いつも冷静に指導採点してくれますから、それを利用して自分の能力を高めていけばいいのです。』
  
   信じられない事が起こる昨今、信じなければいけない事を信じられない人が、結局世の中で信じられない人間になっていくのかも知れない・・・