国家の品格・・・家庭の品格・・・個人の品格・・・

 話題の本「国家の品格」を読んだ。いろいろ物議を醸し出している本だが私には大変共鳴できる内容の本であった。内容の良い悪いは別としてこのような考え方を政治家の方々がする様になれば、憂国感から日本はかなり変わるだろうと思った。本の説明などは差し控えたいが、東京大学に通う学生の保護者の所得平均が全国大学生の保護者所得平均の中で、一番高いというくだりには大変おどろかされた。これはいったい何を意味するのだろう・・・・?また小学生の英語に関して書かれた内容には全く同感であった。
   若年層には外国語教育よりも母国語である「日本語」教育が優先されるべきである!事には諸手を上げて賛成したい。こういう考えは概して英語のあまり分からない人に限って子供に早くから英語を学ばせがちであるが、その子供の一生のうちで、日本語と英語の使う頻度はどれだけの割合であるだろう?と考える。日本語あっての日本であり、日本人であるのだ!英語が話せる事と受験英語が分かることは鼻から違う次元の話なのである。私たちは日本語がペラペラである、しかし、国語の試験でずっと満点が取れてましたか?話せることと学問の英語が分かることはぜんぜん次元の違う話である・・・と言うことが英語の分からない早くから英語教育を始める保護者には分からないのである。文部科学省の役人たちは分かっていることだろう、彼らは小学英語は読み書きの試験は一切しない!と言っていたから言い換えれば小学英語は受験英語にはなんらプラスにはならない!ということなのである。でも違う期待をしている親は多い・・・

   小さい頃は環境さえ整えば子供は直ぐに外国語を覚える。米国に小さい頃住んでいると、日本人社会だけにとどまらない限り英語は直ぐに覚えるものである、と思っていたが小さい子なら小さい子のレベルの英語だそうだ。確かにその通り!そして家では日本語を使うかも知れないが、教科書に出てくるような日本語はまず覚えられない。そんな子が日本に帰ってきて小学校なり中学校に入ると英語も日本語も中途半端で結局両方で苦労するようになるらしいのだ。国家の品格に書いていたわけではないが、小学英語の是非について長くアメリカで日本人商社マンなどの子どもたちのための進学塾で講師をしていた人の話であり、うなずける話であった。

    あなたのお子さんが将来英語が話せるのは確かにすばらしい事だが、日本人として日本で生活する上でお子さんが字が下手で漢字を知らない方が、英語を話せて感じる優越感より不憫で、肩身の狭い思いをする事は間違いない。頭で覚えることはすぐに覚えるがすぐに忘れてしまう。反面、体で覚えることはなかなか会得しがたいが一度身につけるとなかなかはがれ落ちないものなのである。
    仮に年端も行かぬ子供が日本で英語会話を流暢に話せるように覚えたとしよう、でも親が望む社会人の英語使いになるためにどれだけ大変な維持力が必要かなど、英語が分からない人には想像もつかない事であろう。肥満のあなたがたとえばダイエットして20キロ痩せたとしよう、痩せた理想の体重を今までの習慣のまま何年保つ事ができるだろうか?ほとんどの人がリバウンドして前以上に太ったなんて話をいくらでも聞いた事がある。それ以上に今の日本で家族が英語を話さなくて一度身につけた高度の英語力を保つことは、大変困難であると付け加えておきたい。これはこの意味が分かる人にだけわかってもらえればいい例え話である。


     小冊子の形をしているが、中身はさすがベストセラーになるだけの本で著者の考え方の是非はともかく、現代日本をこんな見方で考えればこういう違った発想も浮かんでくる!という考え方を知っていただきたく、多くの方にお勧めしたい本であった。