投稿「言葉の正しい意味 教えたい」

   文化庁の調査で「国語(日本語)が乱れていると思う。」と答えた人が約八割を占めたという記事が、本紙に掲載されていた。それが悪いか良いかの判断は後にして、次の文章を読んでいただきたい。 

「その若者はまた落ちた就職試験の結果を見て、「畜生!」と心の中で叫び「ぶぜん」として、街の人ごみの中にのみ込まれていった・・・。」

       この文章中の「ぶぜん」を今読んだ時ある人は、最近多い無差別殺人事件の動機のひとつに、結びつけたかもしれない。書いた私は「ぶせん」を正しい日本語の「失望してぼんやりしている様子」を意味して使ったとしても、言葉は時代背景や、読み手の気持ちによっては「腹を立てている様子」に読み取れてしまうのである。だから文章は面白いのではないかと思う。 

       「やばい」という日本語がある。私は「危険」とか「心配」の意味でしか使えないが、今の若者は「カッコイイ」の意味でも使っている。「ぶぜん」も「やばい」も言葉は生き物で、どんどん変化していくものではないだろうか。しかし、だからこそ学校の国語の時間には、正しい意味を教えてほしいのである。


このブログは高知新聞 朝刊7月29日付け 声ひろばの欄に掲載されました。