通知表には裏読みが必要・・・?

 ブログをお休みしていたわずか2週間のうちに世の中は、ホントにさまざまな事が起きています。日本を離れて半年いや3ヶ月もすれば完全に「浦島太郎」になっているかも知れません。
 たくさんあるニュースのなかから私は、小学校の先生が学期末に書く通知表の言葉には「裏読み」が必要である・・・と言う記事に目がいったのです。本音が書けず、あいまいなオブラートにくるんだ言葉で、書かれているそうです。もし先生をやっている小学生の保護者がそれを見たら「裏読み」して落ち込むのでしょうか・・・
先生は「お子さんは授業中騒がしくて先生に対して大変反抗的な態度です・・・」なんて書きたいのを「お子さんは授業中活発で先生に対して大変自立的な態度です・・・」と書かれたら全く意味が変わってくるような気がします。
 小学校の先生は国語の表現力が豊かで、語彙が豊富でないとやっていけないかも知れませんね。でもいくら語彙を豊かにして豊富な表現力をつけても、読み手の保護者が全く理解力がなければ何にもならないような気もします。
 でもモンスターペアレントを恐れての通知簿のこういった表現なら、大変悲しい現実ですね。先生が生徒の保護者に媚びてどうするのでしょうか・・・親が先生を尊敬しなくなったのか、先生のレベルが落ちたのか・・・親も先生も怖くなくなったのがいけないように思います。


通知表:教師の「本音」は マイナスの言葉書けず

◇「騒がしい→活発」「反抗的→自立した」
 
もうすぐ夏休み。3学期制の学校では通知表が渡される。所見欄に褒め言葉が多いと親としては安心するが、実は先生たちの「あからさまには書けない本音」も隠れているらしい。学校でのわが子の姿を知るには「裏読み術」が必要なようだ。【木村葉子】

 「お子さんの言葉遣いについてお話ししたいので、面談にいらしてください」

 数年前の秋、東京都内の女性会社員(41)は娘の担任からの電話に驚いた。娘は当時小学校中学年。親としては面談を受けなくてはならないほど言葉遣いが悪いとは思っていなかった。

 振り返れば確かに、担任が娘の通知表に書いた所見には<言葉遣いや行動が乱暴になる時があるので、注意できると良い>とあった。家庭でも「気をつけようね」と話してはいたが、多少荒っぽいことを言っても「子どもらしく元気な証拠」と深刻には受け止めていなかったという。

 女性は「所見欄の読み方が甘かったのか」と、知り合いの小学校教師に聞いてみた。すると「教師が<注意できると良い>と書くのは、よほど目に余り直してほしいところ。かなりきつい表現だ」とアドバイスされた。女性は言う。「所見を額面通り受け止めていたら、先生の意図を見落としてしまう。親はもっと厳しい目で通知表を読んだ方が良いのかもしれませんね」

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 ベネッセ教育研究開発センターが05年、小学生の保護者4432人を対象に行った意識調査では、学習の評価(成績のつけ方)への満足度は「とても満足」「満足」が合わせて60%で、「あまり満足していない」「まったく満足していない」と答えた保護者も32%いた。教師の指導力不足モンスターペアレントの問題が取りざたされ、学校と保護者の関係が難しくなってきた時代、親の3人に1人が通知表のあり方などに不満を感じていることになる。

 だが先生たちにとって、通知表の作成は難しい仕事だ。

 都内のある男性小学校教師は「大事な課題や改善点は面談で伝えることが基本」と話す。「所見にはマイナスの言葉は書きません。学校でどんな変化が見られたかを保護者に伝え、足りないところがより良くなるよう、励ます言葉を選びます」。例えば<最後までやり通せなかった>という子には、<最後までやり通せるようになると良い>。

 裏を返せば、保護者は<できるようになるといいですね>などと書かれた点は、子どもがまだできていない課題だと意識することが必要になる。

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 教育関係者によると、児童・生徒に問題行動があってもソフトな言葉で表すようになってきたのは、個性を重視する教育が取り入れられた90年代以降だ。

 通知表の所見の書き方については、教師向けのマニュアルも出版されている。教師のための情報を発信する「教心ネット」運営責任者で教育コンサルタントの伊藤敏雄さんは「マイナス面は書けないので、言い換えに多くの教師が悩んでいる」と指摘する。

 伊藤さん自身も「書きかえたい言葉一覧、文例集」を作り、ネット上に公開している。例えば、授業中騒がしい子には<活発>や<元気>。口が悪い子には<自分の意見が言える>など=別表参照。最近では「学校での子どもの姿がわからない」という保護者たちが所見欄を「裏読み」するのにも活用されているという。

 伊藤さんは「行動に問題があっても教師はソフトな言葉でしか示さないので、親は子が学校でうまくやっていると勘違いしてしまう。子どもの学校での姿を把握し、成長につなげてほしい」と話す。

 教師との関係性やクラスの雰囲気などでも、子どもの言動は大きく変わる。通知表は中身に過剰に神経質になるよりも、教師とのコミュニケーション手段と位置づけ、家庭と学校が手を取り合って子を育てていくことに生かしたい。

 ◇教科の評定は絶対評価だが…
 教科ごとの評定についても、受け止め方に悩む保護者は多い。

 公立小中学校では02年度以降、学級や学年全体の順位や割合を考慮して個人成績が決まる「相対評価」から、他との比較ではなく教科ごとの目標や内容に対するそれぞれの到達度で評価する「絶対評価」になった。「A=良い」「B=もう少し」「C=がんばろう」などだが、各評価に人数の枠がないため、目標を達成していればクラス全員をA評定にすることもできる。

 実際は多くの子に「B」がつき、「A」は飛び抜けて理解の進んでいる子、「C」は目標に到達しておらず勉強に真剣に取り組むべき子という。しかし、クラスの多くの子が目標に到達していない場合、教師の基準は甘くなりがちで、本来ならば「C」のところを「B」にしてしまうこともある。「『真ん中なら大丈夫』とのんびりしていると、思わぬ落とし穴が待っていることがある」と指摘する教師もいる。

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 ■通知表に書きづらい言葉の言い換え

子どもの様子    通知表での表現

騒がしい      明るい、活発な

頑固な       意志が強い

無口、ぼーっとした 落ち着いた、穏やか

暗い        おとなしい

不まじめ      活動的、行動的

うるさい      活発、元気がいい

怒りっぽい     感受性豊か

落ち着きがない   好奇心旺盛

いいかげん     こだわらない

威張っている    自信に満ちている

口が悪い      自分の意見が言える

反抗的       自立した

不親切       他人に干渉しない

無責任       とらわれない

負けず嫌い     努力家

しつこい      粘り強い

意見が言えない   ひかえめ

甘えん坊      人にかわいがられる

面倒くさがり    物事にとらわれない

ふざける      ユーモアがある

冷たい       冷静

 ※教心ネット「通知表の所見欄、書きかえたい言葉一覧、文例集」(http://www.kyo-sin.net/reframe.htm)を参考に作成

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