投稿 RAILWAYS

「RAILWAYS」という映画を観てきた。49歳のエリート家電業界の社員が、環境の変化に伴い忘れかけていた自分の夢をかなえる話である。ちょうど最近のニュースで、自腹を700万円出して電車の運転手になろうとした人の話を聞いていたので(下記の記事)、「電車の運転手」とはやはり好きな人にはたまらない夢なのだろう。
 映画では、今の日本が抱えるさまざまな問題が浮き彫りにされ、その中で人間らしく生きるとは・・・がメインテーマになっていたように思う。見覚えのある島根の美しい四季の様子も心を和ませてくれた。数年前塾仲間の島根の教室で塾長会議があり出雲大社などを訪問、宍道湖の北の路線を映画に出てきた古めかしい電車が走っていたのを記憶している。 
 夢を実現させて電車の運転手になったからには、首にならない限りその夢は続くが、自営業は始める事よりずっとうまく回転させ続ける事が大変だから、映画の中で夢をかなえた奥さんの店は、これからが大変だろう。セリフでも話していたが、夫婦が共通の夢を持ち実現に向かっていければそれはすばらしいだろう。だが世の中はなかなかそうはうまくいかないから、主人公の夫婦はそのうまくいかない事をやれたのは、幸運だと思う。でもそれを映画上でのお話で終わらせると身も蓋もないが、こんなことが出来たらいいな・・・と思わせてくれたのである。
 「あなたの夢は何ですか?」ともし今聞かれたら、仕事以外の話なら「車で日本一周しながら旧友を訪問し各地の温泉に入って、その土地のB級グルメを食べる事」ぐらいしか今は思いつかない。・・・でも一度しかない人生、元気な今のうちにもっと大切に使わないともったいないぞと、映画から教えてもらった気がする。
 人間はこんな事をしょっちゅう思いながら歳を取り、体が動かなくなり人生を終えるのだろうか・・・夢は夢のままでおいているから、いつまでも夢に向かって夢を見られるのかも知れない・・・まじめな内容の久しぶりに心に響いた邦画であった。


700万円自己負担、公募運転士訓練始動

鳥塚社長から辞令交付を受ける訓練生(大多喜駅で) 第3セクター「いすみ鉄道」(本社・千葉県大多喜町)の公募に応じ、700万円の訓練費用を自己負担して運転士の資格取得を目指す男性4人が10日、契約嘱託社員として採用され、訓練のスタートを切った。運転士を公募したのは同社が全国で初めてといい、4人は早ければ来夏にも運転士としてデビューする。
 4人の内訳は、運転士になるために会社勤めを辞めた人、会社員のままで訓練に励む人が2人ずつ。4人とも訓練費用は完納しているという。埼玉県志木市の吉井研治さん(51)は、29年間務めたバイク販売会社を辞めての挑戦。「700万円の話で、妻や子供に心配されたが、(公募が)報道されたお陰で、家族に理解してもらえたのがうれしい。せっかくのチャンスなので頑張りたい」と意気込んだ。家電量販店を退職して引っ越す予定という広島市の男性(42)は「特に鉄道オタクというわけではないが、何かに挑戦したかった」、市川市の会社員(42)と江東区の会社員(49)も「うれしい半面、身が引き締まる」などと話した。
 辞令交付式で鳥塚亮社長は「自前の運転士が確保でき、訓練生の夢もかなえることができる。経営的にも大いに助かった」と声を掛けた。4人は今後、日曜日ごとに学科講習を受け、9月の学科試験、12月の実技試験に合格すれば運転士資格を取得でき、約半年間の習熟運転を経て早ければ来年7〜8月にも独り立ちするという。

(2010年5月11日17時39分 読売新聞)


平成22年6月12日 高知新聞読者投稿欄「声・ひろば」に「忘れかけた夢の実現」という題で掲載されました。