次期学習指導要領、その時の塾の対応を考察する

 2020年小学校から始まる次期学習指導要領が発表された。小学5年から英語の教科化が始まり、「聞く話す」を中心に「何を学ぶか」から「どのように学ぶか、何ができるようになるのか」に主点をおき、生徒自体が授業に能動的に参加するような「アクティブ・ラーニング」を全科目で導入するようである。そして高校での履修科目が大幅に変更されるようでそれに伴い大学入試もかなり変わって来るだろう。あと10年後は今計画されている指導要領がもう実施されている頃であろうが、その時塾での授業がどのように変わっているのか全く想像がつかない。学習塾で英会話スクールのような事が始まるのだろうか、しかし、中学での指導要領が具体的に発表されていない現状を見ると、小学校での英語教育の影響を受けてやはり「アクティブ・ラーニング」がより一層広がるであろうことは、容易に推測できる。そして中学での英語授業が原則英語で行われるようになるのだ。当然英語の先生にはマニュアルがあるだろうが、日本語で説明しても分からない生徒もいるのに、特に文法の説明など英語でやって生徒がわかるのだろうか?そして生徒も質問があれば英語で言わなければならないなら、よけいに英語嫌いを作ってしまいそうにも思う。
 塾はそうなると大変だ。学校にどうしても合してゆかなければならない宿命の塾は、当然英語を使っての授業を要求されるだろう。またパソコンやタブレットでの授業が絶対必要になるし、先生もその授業を英語で理解できる能力は必要になる。「アクティブ・ラーニング」の余波か生徒発表も英語でしなければならなくなれば、塾はその英文原稿を書かなくてはならなくなるかもしれない。当然定期試験では会話の試験はあるだろうし、入試もそれは考えられる。塾も「英語を除く入試科目指導」なんていう所が現れるかもしれない。日常会話くらいの英語ならそんなにむつかしくはないが、やはり高校では会話だけをやるわけでもなく、英文の長文読解は絶対必要だからそれの準備指導もとなると、学校以上に塾はたぶん英語が大変になるだろう。
 塾の英語の先生の発音は何にも代えて重要で、そうなると英語の実績のない発音の上手でない講師のいる塾は、自然に淘汰される事になる。英語をきれいに発音するにはルールや決まりや要領があり、私は英会話教室時代にそれをずっと20年教えてきた。英語弁論大会入賞者も出してきたが、留学経験があり英語を流ちょうに話す塾の講師はいても、たぶん発音のノウハウをわかりやすく日本人に日本語で教えられる人は、まずいない。歌の下手な人に誰も歌は習わないように、発音がきれいな先生の方が生徒や保護者受けするのである。
 英語は「笑って入って泣いて出る」と言われるほど、深入りすればするほど日本人には難解な言語である。小学生で500くらいの単語そして中学生で2000くらいの単語がきっと義務化されるかもしれない。しかし日本人として一番大切な漢字でもそんなに分からないかもしれないのに、その英語を教え込まなければならない学校の先生、そして塾の先生の10年後はさぞ大変だろうと思う。今でさえ多くがわからなくなる英語、会話もできて読み書きもさせる欲張った教育法を直さなければ、結局塾は英語のわからない生徒であふれてしまう事になる。塾業界にはチャンスかもしれないが、日本国民として大変複雑な思いだ。

来週8/12は夏休みをいただきます。山のオゾンを一杯に吸収して英気を養ってきます。8/19にまたお会いいたしましょう。