リンゲルマン効果

 ある新聞のコラムにリンゲルマン効果の話が載っていた。若いころ心理学に興味がありそのことについて聞いたことがあったので、再び調べなおしてみた。
「リンゲルマン効果とは、単独で作業するよりも、集団で作業する方が、一人あたりの作業量が低下する現象をさします。リンゲルマンの実験では被験者にロープを引っ張らせ,その強さを測定しました。その結果,たとえば8人で引っ張った場合、一人当たりの引っ張る力は、単独で引っ張った場合の約半分となることが明らかになりました。リンゲルマン効果は、社会的インパクト理論やマズローの欲求5段階説(生理的欲求・自己尊厳欲求)などから説明ができます。」
と調べたら書いていたが、人間のやる気を引き出す時などに心理的な効果としてよく取り上げられるものだ。
 人は強制されて好きでもないことをやらされると能率など上がるわけがなく、やらさればやらされるほどそのことが嫌いになる事は誰も分かっている。例えば親が子どもに体に良いものだが嫌いなものを食べさせるのには、その嫌いなものと分からないように小さく刻んだり好きなものと混ぜたりしながら工夫して食べさせるのに、いざ勉強になった場合できない科目はいわば子どもにとっては嫌いな物なのに親は塾に、その嫌いな科目だけをやってほしいと頼んでくるのである。そこで私はこの食べ物に関する話を親にして「嫌いな物を子どもに丸のまま塾でいつも食べさせたらその食べ物はもちろんそれ以上に、この塾が嫌いになりますよ・・・。」と話して、親の理解を求めるわけである。そう言われてみて大半の親は分かってくれて、私の少しずつ嫌いな勉強に好きな勉強を混ぜてゆく方法を支持してくれるのだが、中には「それでは生ぬるいですし、時間がかかりますから結構です!」と言ってお帰りになる保護者も前にはいた。塾でも同じように詰め込んでいる話をよく聞くが、「子どもの事は親が一番知っているし、子どもを塾にやらせるのは親の希望をかなえてもらうためなのです・・・。」と言われた時は何も言えなかったが、その子どもがかわいそうになったのを覚えている。多分バリバリの受験塾に行ったかもしれないが、「今からそんなに急いでどうするの・・・。」と中学受験に失敗した中1生をみて思ったのだった。
 子どもは親の夢の実現の道具なのか・・・いやそうすることが子どもにとって一番幸せだと信じているだけだ・・・とふとわが身を振り返りわが子を思ったが逆に、私のやり方は間違っていない!と確信し今もその考えは変わっていない。HPで見てもらって分かるように教室は大して広くないが、満席にはしないように予約をいれている。満席には試験前くらいしかしないので常時は多くて数人である。そして手をかけたい生徒にはお願いして、よりすいている時間に来てもらっている。リンゲルマン効果の逆を私にあてはめているが、やはり人数が少ない時はじっくり一人ひとりの生徒に時間がかけられる。そして「勉強は他人にやらされるものではなくて、自分からするものである。」という事を常に生徒に伝えている。
 HPの写真によく教室の満席の写真を使っている塾があるが、私はあまり賛成できない。こんな込んだところで勉強するのか・・・とか思われそうだからだ。きっと「流行っている塾だぞ!」と言いたいのだろうけれど、塾ミシガン高知へ来たら何とゆったりとした環境で勉強できるのだろう!と思ってもらえるに違いない。込んでいれば空気も淀むし騒音も増えるし、一人ひとりのモチベーションは少ない人数の時より下がることは、インゲルマン効果で証明されているのである。やはり塾長自ら責任を持って見られる小さな少人数の塾がまちがいない。それは今までの生徒や保護者からの声で分かってもらえると思います。http://www.geocities.jp/pegasus_kochi_sanbashi/pic/voice.pdf