藤川球児氏の男気「たっすいがはいかん!」

 高知市出身の藤川氏は野球の名門高知商業に進み、ドラフト1位で阪神に入り大活躍、全日本チームでも活躍してその後メジャーに渡り今に至っている。阪神時代から数億を稼ぐ選手でメジャーでの推定年俸は五億だったとか、それが高知へ帰ってきて無給の出来高払いの条件での高知ファイティングドッグズへの入団に、高知からは喝さいが上がっている。土佐弁でいう「いごっそう」かもしれない。彼は自分の気持ちを「たっすいがはいかん!」と話しているが、これはあるビールメーカーが、他のメーカーのビールが口当たりやのど越しが良くて苦味もきつさも弱いのを評して、高知県人には「たっすい(口当たりやのど越しが柔らかい)のはいかん!」と宣伝に使っている言葉である。だからさぞそのビールメーカーは喜んでいるのではないだろうか、
 まさか一〜二ヶ月で今言っていることを反故にしてプロ野球には戻らないとは思うが、高知で対戦相手をバッタバッタと三振に仕留める彼の姿を見たいものである。ただ高知県人としてはやはり彼ほどの逸材は、まだまだ中央で頑張ってほしい気もするのだ。歳を取って帰省した時彼は何をしているだろう・・、とか思ってしまった。地元での野球解説やファイティングドッグズのコーチや監督をやっているのだろうか、それとも野球とは全く関係のない世界に身を置いているのだろうか・・・。
 小さいころから野球をして甲子園に出られる確率、そこで活躍できる確率、プロ野球選手やノンプロで野球で生活できる確率などをまとめた記事を見たことがあるが、限りなく0に近い確率だったように思う。それを全部彼は実現して見せたから、「確率は0ではない」「不可能でも夢でもない」という証人なのである。でも30代40代で引退しなければならない現実を考える時、だからこそ若いころ思いっきり野球をやっていたいのだ!と気がつくのだ。
 人生一度、どんな選択も自分で決めて誰にも迷惑をかけず自分で責任を取れればよいのだろう。これだけ人気があるスポーツの野球に、野球塾や野球学校みたいなのができないのが不思議だと前から思っている。努力とそれ以上に才能もいるからかもしれない。日本のプロ野球も子どもから育てる組織があっても良いと思うし、日本野球高校そして日本野球大学などができても良いと思うが、それができないのが日本なのかもしれない。キューバではないからだろう・・・。自分には彼ほどの才能も名声もないが、自分らしく生きている事だけは彼と同じなのだ。球児、頑張れ!