朝ドラを見て

 新しい朝ドラも前回の「わろてんか」から引き続いて観ている。バブル絶頂期の頃が舞台でその頃の高校生が主人公であるが、ちょうど今18歳にして進路を決めるところである。これであっさり地元農協に残り、手堅い人生を歩む話などにはならないだろうから観ている方は面白いのだが、直接の当事者はそれは大変だと思う。私は中村雅俊が演じている役に近い歳だから彼の気持ちもすごくわかるし、主人公の親の気持ちも大変わかる。そして18歳の主人公も「人生一度切り、同じ後悔をするならやりたい事をまずやってみよう!」という考え方だから、大変よくわかるのだ。それぞれの立場で考えてもむつかしい決定であろうが、親はやはり子どもの意思を尊重しつつ何かあった時は、全責任を取るものだと思う。親の反対を押し切り都会に出て行っても、苦労の末夢破れて10年くらいして帰ってくるかもしれない。その時に何も言わずに受け入れるのが親ではないだろうか。親が元気で生活が安定している必要があるが・・・。
 昔音楽をやっていた。若い頃からすごく楽器がうまくて音楽的才能を感じていた友人達もいた。プロの音楽家になった人もいれば結局上手なアマチュア終わった人もいる。中には付いていた先生に「たぐいまれな才能の持ち主」とか言われて、日本の音大そして海外の音楽大学に行って、家が建つほどの資金をつぎ込み帰ってきた人もいる。今はフリーの音楽家である。親も本人もそれで良ければ何も言えないが、私には叶えてやれない無理な事だ。
 英語を30年教えている、今はそうでもないが昔は学校の先生に「英語がそんなに好きなら、高校の英語科そして大学の英文科に行き海外に留学して、商社でも働きなさい。」と言われたから、英語を教えてほしいと来て、なかなか進学高校の英語科に入れる実力では最初はなかったが、何とか勉強させて入れたのである。しかし私は英語科に入っても高校だから、数学も理科も社会も国語もあるので多分それらで苦労するから、前々からそこに行くのは反対をした。そして一番心配したのは英語科に入って英語の種類がかなり増えるし、中学と違って格段にむつかしくなるので嫌いになる事なのだ。しかし彼は高校で運動クラブに目覚めて塾には来なくなった。後で聞けば英語とは関係なしに、その運動クラブの強い大学に進学したとか。高校で好きだった英語も苦労したのではないだろうか、と想像する。高校の英語科くらいで英語の夢はかなうものではないし、まして英語も良く知らない小学生に国際中など行かしてそんなに早く人生を決めさせて大丈夫なものかと、やはり思ってしまうのである。英語の夢をかなえるためには、英語だけができても他もできないと、やはり苦労するのは本人なのである。
 中学生には「英語が好きか、それは良かったね!英語も含めていろいろな勉強を頑張ってみよう!」と励まし、高校生には「英語が好きなら深入りしない方がいい。大学の英語はそこそこできれば一番役に立つから。英語科に行って英語が話せなかったら、逆に無茶苦茶かっこ悪いから・・・」と指導している。