指揮者の小澤征爾さんが亡くなりました。

 どんな天才であれ偉大な人であれ必ずこの時は訪れるのだと、改めて感じたのが私の正直な感想です。20数年前に、私が塾を始めて唯一塾の休みを取って聞きに行ったオーケストラのコンサートが、彼の指揮の新日本フィルハーモニーの演奏会でした。一番安い末席で聞き確か暑い時でホールは冷房が効いていましたが、メイン交響曲はべートーベンの7番で、興奮してその夜は家路についたような記憶があります。しばらく彼のその指揮の姿を想像しながら、彼の指揮で録音されたCDを聞いていました。「世界の小沢」というイメージで聴きますから、すごい音楽に聞こえてしまうのかもしれませんが、何枚か持っている彼の指揮の演奏のCDは、やはり何かが違うように感じます。

 彼が若い頃、スクーターでヨーロッパを放浪して音楽修行をしていた時の様子を書いた本を読みましたが、文章はあまり得意ではない方とお見受けしたのを、読後の感想として覚えています。ピアノを学生時代ラグビーをしていて手を怪我してあきらめたようですが、彼の音楽的な才能はピアノが上手に弾けなくても、音楽の天分は開花したのです。

 塾業に集中するために音楽から距離を置いていましたが、彼の演奏を聞くと再び若い頃の音楽への情熱がほとばしって来るのを感じるのです。クラッシック音楽は素晴らしいです。

 心よりご冥福をお祈りいたします。