二十歳(ハタチ)過ぎれば・・・

       先週の日曜日、東京秋葉原で何とも痛ましい事件が起き、たくさんの方が死傷されました。今の我が国の問題を凝縮したような事件で、日本人として心よりお悔やみ申し上げます。
       犯人がクローズアップされ彼の生い立ちから今までのことが明らかになっています。両親の父親が49歳で母親が53歳なのです。親と同世代で子を持つ親としてその気持ちを推し量ると、言葉が出ません。ただ小さい頃からの家庭環境は犯人の性格形成に大きく影響していると思います。

        母親が大変小さい頃から教育熱心で、厳しく勉強を教えたり塾通いをさせたりしていたようです。子どもの頃に遊びたいから塾を休んだりすると厳しくしかるなど、母親は厳格に子どもを育てたようですが、親の能力も影響も中学後半には届かなくなり、それまで優秀だった子が進学高校に入ったはいいが、ずっと下位に甘んじていて挫折感を募らせていったようです。
        有名進学高校では、各中学校で優秀な生徒が集まってそこで競争になりますから、誰かがトップで誰かが最下位になるのは当たり前です。それが世の中というもので、「上には上がいる」ことを学ぶのですが、本来励まさなければならない親が、ふがいない成績の息子を罵倒していたのではないかと思います。頑張ってみたもののどうしようもなく壁は高く、今までの自尊心やプライドはもろくも崩れていく構図は、何処にでも見られるものです。

         はっきり忘れましたが、「五つで天才、十で秀才、二十歳(ハタチ)過ぎれば酒、タバコ、異性を覚えた大馬鹿やろう・・・」とか誰かが皮肉って言っていましたが、小さい頃から優秀だった人でも大人になれば、「唯の人」になることが多いのですね。

         今の私の商売では子どもに過度の期待をして、無理をさせている光景を良く見かけます。中学受験など特に感じます。無理して入学しても、とても大変でやる気をなくしている生徒の多いこと。みんながみんな有名大学に進学するわけでもなく、地元でしか通用しない「〜中学、〜高校卒業」というブランドだけのために通っている風にも思えるのです。卒業して進学しないのか出来ないのかは分かりませんが、大学に行かない生徒も結構います。そして最近は学費が払えず、公立高校を受験する私立中学生も増えて来ました。これは全国的な傾向です。そうなんですよ、私学は「ほんとに頭がよく、お金持ちのお子さんが行くべきです。」

         公立校では勉強以外に職業体験など様々なカリキュラムが用意されていて、私学出身の優秀な先生たちが指導されています。そんな彼らは履修漏れなどから分かるように、受験には関係ない勉強はしていないようです。それがいいと思っているのか、自分が教えている公立中には我が子はあまり入れない現実・・・

         子どもは無理せず自然に育てるのが一番だ!とやっぱり思ってしまいました。小さい時いくら優秀でも大人で「アホ」と言われたら、それまでの努力は水泡に消えてしまうのです。そんな人に限って〜中学、〜高校の出身ですよ・・・と言いつづけるのです。